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患者会活動の原動力は、人との出会いとふれあい

リレーエッセイ/第6回
社団法人 全国腎臓病協議会 副会長 栗原紘隆

社団法人 全国腎臓病協議会 副会長 栗原紘隆

私は、32年全腎協(全国腎臓病協議会)の活動に関わってきました。60歳で定年退職したら患者会活動に専念しようと考えていましたが、仕事が一段落したのを機に、4年前に少し早めに退職して事務局専従となりました。

会社員時代は主に生産管理に携わり、その後は健康保険組合の健康相談事業に関わりました。仕事はコミュニケーションが大事だと考え、チームを作り上げ、ネットワークを作ってきました。うまく話ができる関係を作ることが私の取り柄なので、患者会活動の中でも厚生労働省などとの対外活動を引き受けています。私自身は政治も医療も専門家ではないので、何でも教えてもらえるような関係づくりに努めています。全腎協の代表として日本難病・疾病団体協議会にも参加して、さまざまな団体の方からも多くを学びました。ただ、仕事として患者会活動に携わると「学ばなければ…」という気持が強く、余裕がなくなった気がしています。

会社員時代は「遊び人」で、囲碁や将棋、釣り、競馬なども大好きでした。たとえば将棋をしていると冴えているのか集中できるのか、自分の精神状態がよくわかる。しかし、最近はそういった趣味を楽しむ余裕がありません。患者会の仕事は、会社員時代の仕事と重みが違います。以前は全腎協の活動は「生き甲斐」と感じていましたが、今は、まず責任を感じるのです。それは他の理事も同じではないかと思います。そして、そんな余裕がないために「優しさ」が足りなくなっているのではないか。日々の仕事に追われ、自分を振り返ったり、冷静に考えたりする余裕がなくなっているのでないかと反省しています。

特に患者団体が協同して活動を進める場合、全腎協は大きな組織なので、他の患者団体や社会からも期待されます。さまざまな疾病や障がいを持つ人が、いつでもどこでも安心して生活できる体制を作っていくのが、私たちの使命だと考えています。ですから、自分たちのことを、あるいは個々の患者団体のことを優先できない場合もあります。そのことは、会員一人ひとり、それぞれの団体の方にも会ってじっくり話をすれば納得してもらえると思いますが、その時間がなく結論を押しつける形になってしまうことがあります。本来、過程があって結論がある。その過程の部分がコミュニケーションになるのだと思うのですが、なかなかみんなが納得するようになってない現状を今、残念に思っています。

でも私はやはり人とのふれあいが好きなのです。少しでも時間がとれれば、旅行社のツアーに参加して、さまざまな人たちと出会い、交わる旅を楽しんでいます。全腎協の活動も、もともとはいろんな地方を訪ねて大会の準備を手伝い、いろんな人たちと出会って、ふれあい、親しくなっていくのが楽しかったから続けてこられたと思います。

自分が60歳を迎えて思うことは、自分の人生はだんだん歳をとるごとによくなってきたこと、そして60代というのは、脂がのりきった時代、まだまだがんばれる世代だということです。高齢者も日本の財産の一つです。社会の中で、社会の資産として働きたい。私も元気な間は社会の役に立ちたいと考えています。