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一般社団法人 全国パーキンソン病友の会

一般社団法人 全国パーキンソン病友の会

相談役 河野 都 氏・事務局長 一樋 義明 氏

脳で作られるドーパミンが減少して起こるパーキンソン病は、難病の中でも特に患者数の多い病気ですが、原因は不明で、治療法も確立されていません。50歳以上に発病することが多く、日常生活に重大な支障を来すため、患者はもちろん、介護する家族も大きな負担を強いられます。1976年に結成された全国パーキンソン病友の会は、この難病に直面した患者と家族による団体で、30年以上にわたって数多くの問題解決に取り組んできました。そこで、結成当初から活動に携わってきた河野都さんと、現在の事務局長の一樋義明さんにお話をうかがいました。

活動の状況
年々増えるパーキンソン病
患者・配偶者の高齢化に伴い新たな問題も

近年、パーキンソン病は、患者が増加傾向にあり、患者数は全国で15〜16万人と言われています。震戦(ふるえ)や筋肉の硬直、動作の緩慢、姿勢保持障がいなどの症状が起こるのが特徴で、患者は重度の歩行障がいや言語障がい、書字障がいなどに悩まされます。全国パーキンソン病友の会(以下、パーキンソン病友の会)が結成された当時は、パーキンソン病に対する社会的な認識は極めて低く、病気の苦痛をなかなか理解してもらえませんでした。そこで、パーキンソン病友の会では、患者の利益を第一に「原因究明」「治療法の確立」「神経内科医の育成」を訴え、特定疾患の認定と公費負担を実現しました。活動を続けていくうちに医療者や行政の理解も得られるようになり、各地で医療講演会を開催するなど、地域での活動も充実してきました。何ごともみんなで力を合わせて、手探りで少しずつ着実に活動してきたという思いがあります。

しかし、パーキンソン病は進行性の神経難病であるため、最近は、高齢化による体力低下などにより重症化する例が増えてきました。また、介護に当たってきた配偶者も高齢化して体調を崩したり、亡くなったりする例も多く、新たな対応が求められているのが現状です。

最近の特徴的な活動は「1万人運動」と「男の介護」

現在の主な活動としては、国や行政への働きかけ、情報発信源である会報の定期発行、会員・家族の親睦を深める行事の企画などが挙げられます。地域活動にも重点を置き、各支部では、医療講演会や定例会の開催、医療制度や医療機関などの情報提供などを行っています。

パーキンソン病患者の増加に伴い、会員も増え続けていますが、より多くの患者や家族が力を合わせて発言力を高めるために、会員数1万人を目指す「1万人運動」を行っています。各支部でも、会員以外の患者や家族が参加できる医療講演会を開催するなどして、会員拡大に積極的に取り組んでいます。

パーキンソン病は、患者本人だけでなく介護する人の負担も非常に大きいので、私たちは介護する家族の問題にも注目してきました。2006年には、女性介護者の体験集「二人三脚の声・声」を制作し、続いて、2008年には男性介護者の声を集めた「介護体験集男の介護」を発行しました。特に「男の介護」は、パーキンソン病だけでなく認知症などにも共通する問題であることから、社会的にも注目される活動となりました。

その一方、2006年には、希少性という条件に当てはまらないという観点から、厚生労働省から特定疾患認定を見直すという通告がありました。他の難病団体と連携して反対運動を行った結果、見直しは行われませんでしたが、今後もパーキンソン病の特定疾患認定や医療費の公費負担の必要性は訴えていく必要があると考えています。

法人化し、35周年を迎えてまた新たな歩みを始める

パーキンソン病友の会は、2010年10月に一般社団法人となりました。以前から、患者団体として信頼感や存在感を高めるために法人化を目指し、当初はNPO法人に組織化する方向で検討してきましたが、手続きなど制約が多いため、一般社団・財団法人法を活用することになりました。三十数年前に特定疾患に指定されたことをきっかけに、ほとんどの都道府県に支部ができ、活動が全国に広がっていきましたが、今回の法人化を機会に、これからは活動を「量」から「質」に転換していくべきと考えています

また、35周年を機に「歴史編纂委員会」を設立し、時代の変遷の中で医療、介護、福祉、薬の進歩、治療方法などの進展状況と問題点を振り返り、今後の展望を語り合う『35年のあゆみ』の制作発行を目指しています。

これからの課題としては、介護保険の改良を訴えていくことや、患者・配偶者の高齢化への対応が挙げられます。また、韓国のパーキンソン病患者団体との交流が始まり、国際的な連携の重要性も実感しました。パーキンソン病という垣根を越え、もっと広い視野に立ち、海外や他の患者団体、一般市民とも連携して、すべての人が幸せに暮らすことを目指す生存権を、私たちの課題として掲げていきたいと考えています。 私たちが自慢できることは、設立以来、全国がひとつにまとまって行動してきたことです。本部では全国的な立場からの活動を行い、支部がそれぞれの地域で「足もとの活動」を行いながら、ともに進んできました。歩みはゆっくりですが、すべてをオープンにして話し合いながら、何よりも患者を大切にして活動していくという流れは今も変わっていません。

パーキンソン病に立ち向かっていくためには、患者本人が前向きに生活し活動することと、配偶者の存在が重要です。力を蓄え、新しい問題に取り組み、そして、みんなで楽しく体操やリハビリテーションを行い、親睦を深め、助け合う。そんな活動をこれからも続けていきたいと考えています。

主な活動

■会報(機関誌)の発行(年4回)
■総会・大会の実施
■署名・募金活動
■医療講演会、運動会、リハビリ
■教室、旅行などの開催
■体験集の発行

組織の概要

一般社団法人
全国パーキンソン病友の会
■設立:1976年11月
■一般社団法人:法人格取得2010年10月
■支部数:46支部
■会員数:8,153名(2010年3月31日現在)