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活動レポート第20回(2009)

活動レポート第20回(2009)

地域でのネットワークを広げ、情報やノウハウを共有し、それぞれの活動を充実させていこうと各地で積極的な取り組みが行われています。そこで今号では、2009年3月から5月にかけて開催された北陸・九州・関東・沖縄の地域学習会の様子をレポートします。

第8回 北陸学習会 in 富山(7月25・26日)
「元気が出る会運営に何が必要か」をテーマに、今年も合宿学習会を開催

第8回北陸学習会が1泊2日の合宿学習会として開催されました。今回は「元気が出る会運営に何が必要か」をテーマに、まず、「(社)日本オストミー協会」常務理事の山根則子さんが基調講演を行い、次にグループ討議と発表が行われました。

グループ発表では、Aグループは「活動に参加できない人とのつながり」「問題の共有」「会の中から元気になる」「会を越えたつながり」をキーワードにあげ、ネットワークを広げて連携し、自ら発信していこうと述べました。さらに社会的な問題には北陸学習会として取り組み、解決策を共有したいと提案しました。Bグループは、夢や思いを実現するために、他の団体の成功体験を知るなどネットワークを広げ、行政や学校など多くの力を集めようと提案し、さらに一人ひとりが明確な目標を持ち、元気を出して笑おうと呼びかけました。最後に、山根さんが全体講評として「私自身が元気をもらい、北陸学習会のつながりの強さを感じた。これからの活動の参考にしたい」と述べました。

北陸学習会では運営委員が中心となり、学習会開催前の事前課題の設定や、開催後のニュースレター発行など積極的な活動を行ってきました。回を重ねてネットワークも広がり、また学習会での成果を所属団体の活動に活かす例もみられるようになりました。参加者からも「みんなで議論するプロセスを通して、学習会そのものが有意義な場になってきたと思う」との感想が述べられるなど、充実した雰囲気の中で2日間の学習会が終わりました。

参加団体
(社)認知症の人と家族の会 富山県支部/ NPO法人 難病ネットワークとやま/ 日本ALS協会 富山県支部/ にいがた膠原病つどいの会 新潟県支部/ 富山IBD/ 脳外傷友の会「高志」/ NPO法人 日本IDDMネットワーク/ 全国パーキンソン病友の会 富山県支部/ (社)日本オストミー協会

第10回 沖縄学習会 in 沖縄(8月10日)
完成した団体紹介ツールを使い発表、伝えるためのテクニックその大切さを実感

第10回沖縄学習会は、「会を伝える」をテーマとした団体紹介ツール制作の第3回目でした。今回は、掲載項目の洗い出し、手描きでの制作を経て前回パソコンソフトで制作したものをプレゼンテーションソフトで加工する実習研修を行いました。

約1時間をかけて、パソコン操作の得意なメンバーの指導を受けながらの画面づくり。その後、各会の代表者が完成したものを使って発表しました。タイトル処理や写真、動画、効果音の挿入、ポイント数などの工夫が見られ、一歩前進した感がありました。検討会では、伝える対象者によって内容が変わる、どう使い分けるのかという質問に、基本パターンをつくっておき、発表者が口頭で説明を変えていくという答えが導き出されました。

感想として、「操作についていくのが精一杯だったが、可能性を感じた」「活動内容を簡潔な表現で整理でき、わかりやすく伝えることができそう」「プレゼンテーションはTPOで使い分けが必要。より相手に伝えるために文章や語りでのキャラクター性を出していきたい」「読んでもらう広報物と違い、発表の難しさ、大切さを実感した」などのコメントがあげられました。会の活動を振り返る成果はもちろん、発表のテクニックなど新たな課題を発見した学習会となりました。またこの学習会で刺激を受け、個人的にパソコン教室に通い始めたメンバーもいるという報告もありました。

参加団体
沖縄県難病相談・支援センター NPO法人アンビシャス/ 沖縄IBD/ てぃんさぐの会/ 全国膠原病友の会 沖縄支部/ もやの会(もやもや病の患者と家族の会沖縄県ブロック)

第15回 東北学習会 in 仙台(9月26日)
障がいや疾病を持つ当事者としての「自己の向上」をテーマに討議を行う

9月26日、仙台市のみやぎNPOプラザにおいて第15回東北学習会が開催されました。前回の学習会での話し合いをふまえて、今回は、医療を考えていく上で必要となる「自己の向上」をテーマに、グループに分かれて話し合うワークショップが行われました。

グループ発表では、1グループ目が「自己の向上とは、貢献しようとする力なり」と定義し、「いろいろな人と出会い、みんなで支え合うこと、それが自分の心の支えとなり、他の人に貢献しようとする気持ちを生み出す。人と人とのつながりと、発信しようとする力が大切ではないか」と発表しました。

2グループ目は「自己の向上は全体の向上につながる。さまざまな人とのコミュニケーションにより他を知ること、自省の念を持つこと、目的を明確にし、常にふり返りの心を持つこと、多様性を認めること、他人への尊重の心を持つことなどが自己の向上につながる」とまとめ、発表しました。

3グループ目は「この地域学習会のような場でさまざまな人の話を聞くことが、私たちの活動の源。また、当事者には自分の話を聞いてほしい気持ちもある。自己の向上のために、地域学習会では講師による講演会などを開催し、また自らの思いを話し、自分を受容していく機会を設けたい」と提案を含めて発表しました。

ワークショップ後には、地域学習会報告会への参加報告や、各団体からのイベント案内や新しい活動についての呼びかけがあり、なごやかな雰囲気の中で、情報交換も活発に行われました。

参加団体
みやぎこうでねいと/ ピンクのリボン/ 仙台市障害者スポーツ協会/ 乳腺患者会プリティふらわあ/ 東北福祉大学感性福祉研究所/ 宮城コンチネンス勉強会/ (財)仙台市身体障害者福祉協会/ (社)日本リウマチ友の会 宮城県支部/ 線維筋痛症友の会 東北支部/ 全国膠原病友の会 宮城県支部/ あすなろ会/ CILたすけっと

第11回 九州学習会 in 熊本(9月27日)
イベントや講座の「企画力」と「広報力」向上のために、講師を招いて研修

「イベントの企画とは?」「参加者拡大への方策は?」「これから患者会で新しいことに取り組んで行きたい」―そんなヘルスケア関連団体のリーダーのニーズを汲み上げた内容での第11回九州学習会が熊本で開催されました。講師は今、全国で講演活動を行っている、「特定非営利活動法人男女共同参画おおた」の理事長、牟田静香さん。テーマは「行列のできる企画の作り方」です。

まずは、実際に開催された7つの講座で牟田さんが作成したチラシのベスト1、ワースト1をグループワークで検討。グループは、あらかじめ男女、年齢、疾患などがばらばらになるように構成されていました。このメンバー構成は、メンバー間でなぜ意見が分かれるかを考えることにより客観性を身につけ、また性差や年代によるターゲットごとの興味の違いなどを再認識することを狙いとしていました。その後、牟田さんがすべてのチラシの長所、短所を解説。対象者は絞られているか、タイトルのつけ方、日時設定、申し込み方法、参加動機のリサーチやアンケート結果の分析の大切さなど、事例をふんだんに使った説明に参加者は熱心に聞き入りました。

最後に牟田さんは、人が集まり満足感の得られる企画・広報に必要なことは、「対象者を徹底的に絞る」「心に響くゴールの見えるタイトルづくり」そして「担当者の熱意と努力」と結びました。

参加者からは「より多くの人に病気のことを伝えたい場合、対象者を絞りきれない」との質問が出て、「最低でも若年者層向け、高齢者層向けの2種類のチラシを用意しては」というアドバイスがありました。それぞれの団体でアレンジし活用できる手法を学んだ、成果の大きい学習会となりました。

参加団体
熊本県難病団体連絡協議会/ 熊本県難病相談・支援センター/ 佐賀県難病相談・支援センター/ 福岡県難病相談・支援センター/ 大分県難病相談・支援センター/ NPO法人 佐賀県難病支援ネットワーク/ NPO法人 日本IDDMネットワーク/ NPO法人 全国精神障害者ネットワーク協議会/ NPO法人 ともしび/ NPO法人 ばらん家/ 血液疾患患者と家族 晴れの会/ 線維筋痛症友の会 九州支部/ 熊本SCD・MSA友の会/ 大分SCD・MSA友の会/ (社)日本リウマチ友の会 熊本県支部/ 全国パーキンソン病友の会 佐賀県支部/ 佐賀県ALS患者家族会/ エンジョイポリオの会

第15回 関東学習会 in 東京(9月13日)
「ホームページの活用」をテーマに3団体が発表、充実した学習の場に

第15回関東学習会が「ホームページの活用」をテーマに開催されました。まず、早くからインターネットを活用してきた「NPO法人MSキャビン」の中田郷子さんが、今までの経験をふまえて「ホームページの活用のしかた~信頼性を高めるコツ」と題した発表を行いました。中田さんは、ホームページの管理運営について心掛けている点や、掲示板を止めた経緯などについて説明し、現在のホームページは基本的な情報に限定して、来訪者を情報誌や講演会につなぐ入り口としていると語りました。さらに今後の課題としてアクセス頻度のアップと携帯電話用ホームページへの展開をあげました。また今回の発表のために、改めて自分の考え方を整理することができ、よい経験になったと述べました。

次に「竹の子の会」の川口あや子さんが発表を行いました。竹の子の会は、PWS(プラダー・ウィリー症候群)のこどもを持つ親の会で、2004年にホームページを開設し、その後リニューアルしましたが、管理運営が困難であったため、2008年にファイザー株式会社の支援で2度目のリニューアルを行いました。セキュリティ管理やサーバー提供などのサポートを受けられるようになったため、担当者の負担が軽減し、またイラストを使った楽しい画面が好評とのことです。川口さんは「インターネットで古い情報に接して、必要以上に子どもの将来を悲観する若い親御さんも多いので、当会のホームページを通じて正しい情報を発信し、親の会ならではのサポートをしていきたい」と述べました。

最後に「CMT(シャルコー・マリー・トゥース病)友の会」の栗原久雄さんが発表しました。同会はインターネットを通じて集まった当事者たちが2008年に立ち上げた団体で、会員同士の交流にインターネットを積極的に活用したいとのことでした。栗原さんは「装具やサポーターの情報、生活の工夫、患児の親の掲示板など、病気の特徴に合わせた会員用コンテンツを充実していきたい」と述べました。

今回は、初参加の団体や、各団体の広報やホームページ担当者の参加も多く、実際のホームページを紹介しながらの3人の発表に、参加者はみな熱心に聞き入っていました。質疑応答でも具体的な質問が飛び交い、他の団体から情報提供もあるなど、有意義な学習の場となりました。

後半には『患者と作る医学の教科書』発刊の報告があり、執筆や編集に関わったメンバーが感想を述べました。この教科書の企画が立ちあがったあとに関東学習会のプロジェクトになり、1冊の教科書として実を結んだことに対して「うれしい」「感動した」との言葉も聞かれ、第2弾や改訂版、ネット展開などの構想や期待が話し合われました。

参加団体
あすなろ会/ NPO法人 MSキャビン/ あけぼの会/ NPO法人 楽患ねっと/ 社会福祉法人 小茂根の郷/ 腎性尿崩症友の会/ CMT友の会 / (社)全国脊髄損傷者連合会/ NPO法人 線維筋痛症友の会/ 竹の子の会/ (社)日本オストミー協会/ 中枢性尿崩症の会(CDIの会)/ NPO法人 日本IDDMネットワーク/ 全国HAM患者友の会/ ポリオの会/ CAPS患者家族の会/ NPO法人のぞみ会/ NPO法人 睡眠時無呼吸症候群ネットワーク(SASネット)/ NPO法人 環境汚染等から呼吸器病患者を守る会(エパレク)/ 遠位型ミオパチー患者会/ つくしの会(軟骨無形成症患者・家族の会)/ 日本プラダー・ウィリー症候群協会

MSキャビン 中田郷子さんの発表より
団体ホームページを運営する際に心掛けたいこと
■問い合わせの仕組みや個人情報の取り扱い方(取得時期・目的・管理方法等)を明記する
■ホームページは動いていることが大事
●古すぎる情報は削除する
●更新頻度を多くし、ブログなどを利用して動きを持たせる
●業務日誌を掲載すると更新頻度も多くなり、活動の様子がよくわかってもらえるメリットもある

ホームページの信頼性を高めるコツ
■何のため、誰のためのホームページか、目的を明確にする
■ユーザーや社会などに対する影響を常に想像する
■問い合わせや講演会などの機会を利用して、適切に理解されているかを確認する
■更新頻度を多くして動きを持たせる
■発信時期、情報源・発信者、医療監修の有無を明記する