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全国難病センター研究会 第11回研究大会(沖縄)開催

全国難病センター研究会 第11回研究大会(沖縄)開催

2009年3月20日・21日に、沖縄県那覇市で全国難病センター研究会・第11回研究大会(沖縄)が開催されました。大会の様子とともに、念願の沖縄開催に尽力されたNPO法人アンビシャス事務局長の照喜名通さん、全国難病センター研究会事務局長の伊藤たておさんのお話を紹介します。

第1回大会から、6年を経て実現した沖縄での大会

北海道難病連に事務局がある全国難病センター研究会は、2003年より各地で「全国難病センター研究大会」を開催し、難病相談・支援センターのあるべき姿や、役割と運営方法の研究、専門医や地域医療との連携、地域との連携システムの構築などに取り組んできました。また、2007年までに全国47都道府県に設置された「難病相談・支援センター」ですが、各センターの運営は都道府県に任されており、運営団体や形態、規模、活動状況なども一様ではないため、現在では多くの課題を抱えています。

今回の沖縄大会は、沖縄県難病相談・支援センターの運営に携わるNPO法人アンビシャス事務局長の照喜名通さんが中心となって、2008年から準備を進めてきました。今まで開催された大会には、交通費や体調管理などの問題により、沖縄から多くの人が参加することが難しく、今回沖縄での開催実現に至ったことは、関係者の格別な思いが込められていたようです。

全国難病センター研究会・第11回研究大会レポート

沖縄大会の1日目は、まず全国難病センター研究会会長の木村格さん(独立行政法人国立病院機構宮城病院)より「11回目の研究大会を迎え、積み重ねることの重要性を実感しています。難病の人が自分の思い描く仕事や生活ができるような社会を目指しましょう」という挨拶からスタートしました。

特別講演では、落語家の春風亭柳桜さんが「両下肢義肢で社会復帰したバージャー病*1落語家の実践について」と題して、患者としての経験や疾患に対する思いをユーモアたっぷりに軽妙な語り口で講演しました。

次に、北海道枝幸町で保健福祉センター所長として活動する工藤裕子さんが「難病患者支援体制確立に向けた地域からのアプローチ」をテーマに研究講演を行い、そして沖縄県南部医療センター・こども医療センター・神経内科副部長の神里尚美さんが「沖縄県での神経難病治療と支援ネットワークの試み」をテーマに特別講演を行いました。参加者は、北と南それぞれに対応した難病対策に取り組む専門家の講演を、熱心に聴講していました。

研究発表では、複数の発表を続けて行った後、パネルディスカッション形式で質疑応答や討議などが行われました。関連性のある発表を比較検討しながら聞くことができ、またパネルディスカッションでも幅広い意見交換、新たな問題提起などを行うことができたので、発表者だけでなく参加者にも好評でした。

2日目には、全国難病センター研究会副会長の今井尚志さん(独立行政法人国立病院機構宮城病院神経内科医)が「『特定疾患患者の自立支援体制の確立に関する研究班』取組報告と今後の方向について」をテーマに研修講演を行いました。続いて発表とパネルディスカッション、そして全体ディスカッションが行われました。今井さんは大会の最後に、「会を重ねるごとに議論が幅広く、深まっている。この沖縄で第11回大会を開催し、新しい医療の在り方、患者団体の在り方を、この地から新しく発信できたような2日間でした」と締めの言葉を述べました。

沖縄の状況が把握できた研究大会の開催

全国難病センター研究会 事務局長 伊藤 たてお さん
沖縄で研究大会を開催して、行政や保健師、患者団体の奮闘や、専門医の状況などが把握できました。ただマスメディアの関心は低かったので、難病対策の意義がより広く理解されるように、もっとアピールする必要も感じました。研究大会の内容としては、発表や議論は深まってきていますが、専門家の発表に対して、当事者である患者団体が気後れしている印象がありました。患者団体は、患者や家族のさまざまな思いや生の声を代弁していくという機能があり、専門家の発表とは役割が違うということをもっと私たちがアピールするべきであったと少し反省しています。

沖縄には離島の問題などもありますが、その一方で沖縄のよさもあります。ハイテクに囲まれた都会の病院ではなく、人のつながりがあり、自然豊かな島でのんびり闘病したい人もいるはずです。今回の発表でも、家族とともに地域で闘病したい、暮らしたいという患者さんの思いが根底にあるのだと強く伝わってきました。医療だけではなく広い意味での最先端の闘病環境を提供できるのは地方かもしれません。だからこそ、こうして全国各地で研究大会を開催し、さまざまな立場の人が集まることに意義があるのだと思います。

いずれにしても、沖縄大会の開催により、沖縄のみなさんに研究会の存在を知ってもらい、私たちも沖縄のことを知ることができ、いいものを残せたという気がします。

念願だった沖縄大会の実現

NPO法人アンビシャス 事務局長 照喜名 通 さん
研究大会は各地で開催されていますが、沖縄から参加するのは非常に難しいため、情報が不足し、地域格差が大きいと感じていました。今回は念願の地元開催で、沖縄の参加者も多く、保健師も多数参加し、また県や市も協力してくれました。さまざまな立場の人が、難病対策の状況を知り、問題意識を共有したことは大きな財産だと考えています。

2008年の春から準備に取りかかりましたが、途中で私は体調を崩したので、事務局と患者団体のリーダークラスのメンバーが中心になって進めてくれました。みんなでがんばって沖縄大会を成功させたことが、さらなる成長のきっかけになれば、と思います。参加協力してくれた医療関係者や行政とも連携して、さらに活動を進めていきたいと考えています。

*1バージャー病
喫煙する20〜40代の男性によく発生する四肢の閉塞性動脈疾患です。ビュルガー病,特発性脱疽,閉塞性血栓血管炎ともいわれています。足趾または指に強い疼痛などを生じ,潰瘍・壊死となって足趾または膝下での大切断に至ることもある原因不明の難病