活動紹介 第53回(2020)
第36回 東北学習会 in オンライン(2020年7月5日)
当事者の立場からインクルーシブ防災を学ぶ
第36回東北学習会がオンラインで開催されました。
まず、(社福)仙台市障害者福祉協会の阿部一彦さんが「インクルーシブ防災」をテーマに、地域の住民組織等との相互理解と連携を図り、障がいや疾病のある人など、多様な立場の人にも配慮した防災・減災の取り組みについて講演を行いました。阿部さんは、「私たちのことを私たち抜きに決めないで」とのスローガンの意義や、必要な配慮について当事者が発信することの重要性、東日本大震災前から宮城県沖地震を想定して福祉避難所の設置などを検討してきた東北学習会の取り組みと、震災後の経緯を紹介。さらに災害時に家族構成や生活環境に合わせて自分自身がとる防災行動を時系列的に整理しておく「みんなでマイ・タイムラインプロジェクト」を取り上げ、「常日頃から自助、共助のあり方について考え、実践していく必要性がある。個人や当事者団体だけでは限界があるので、地域住民とのつながりが大切」と述べました。講演を受けたディスカッションでは、昨年の台風19号による被害状況も紹介され、「自分のタイムラインを作成したい」「改めてハザードマップを確認したい」「今日の学びを団体に持ち帰り、また東北学習会にフィードバックすることが大切」「多様な社会は強い社会をつくる。インクルーシブな考え方を教育の中に盛り込みたい」などの意見がありました。熊本県や長崎県の豪雨被害のニュースが伝えられる中での学習会となったことから現実的な情報提供や提案も多く、インクルーシブ防災やマイ・タイムラインについて、VHO-netを通じて全国の仲間と共有していくことも確認しました。
また、参加者一人ひとりと事務局との事前接続テストを経て、初めてのオンライン学習会がスムーズに進行し、「開催できてよかった」との思いも共有。遠方であることから今まで参加が少なかった岩手県から3人の初参加があるなど、オンラインならではのメリットも感じられた学習会となりました。
参加団体
■ 岩手県腎臓病の会
■(一社)岩手県難病・疾病団体連絡協議会
■ 患者会ピンクのリボン
■ 全国心臓の子どもを守る会岩手県支部
■(社福)仙台市障害者福祉協会
■ 仙台ポリオの会
■ 福島県難病団体連絡協議会
■ NPO法人 宮城県患者・家族団体連絡協議会
第15回 北海道学習会 in オンライン(2020年7月12日)
ヘルスケア関連団体の資金調達について学び、意見を交わす
第15回北海道学習会がオンラインで開催されました。
まず、コロナ禍での活動状況やオンライン会議への参加経験などを含めて全員で自己紹介を行った後、ファイザー株式会社の喜島智香子さんが、昨年のワークショップのテーマである「ヘルスケア関連団体における資金調達について」の講演をしました。
喜島さんは、資金調達の必要性や、支援を受けるために顔の見える団体となること、共感されることの重要性に言及し、さらに寄付する側の心理を考えて「感謝の気持ちを大切にする」「資金の透明性を担保して、支援者に安心感を与える」「団体の活動内容の充実は、寄付する側の満足感につながる」「常に真摯な態度で対応すること」などをアドバイスしました。講演を受けて、参加者からは「寄付を出す側の気持ちがよくわかり参考になった」「顔の見える団体になることを目指したい」「ホームページも工夫したい」など、前向きな感想が多く寄せられました。
ディスカッションでは、「オンラインでの相談会を実施した」「高齢の会員が多く、オンライン環境のある人が少ないので活動は難しい」「オンライン会議のノウハウを勉強したい」など、コロナ禍の影響下での活動の状況や課題について意見交換を実施。最後に中央世話人の阿部一彦さん((社福)仙台市障害者福祉協会)が「オンラインを使えば、地域を越えた交流もしやすい。ここからつながりを広げていきたい」と総括しました。
北海道学習会では、道内が広く交通アクセスが悪いことから、参加しにくいという人が多いことが長年の課題でしたが、オンラインならば参加できる人も増えると考えられることから、今後、多くの団体に声をかけ、ネットワークを広げることを確認しました。コロナ禍で団体の活動も停滞する中、資金調達やオンラインなど、新しい学びが得られた学習会となったようです。
参加団体
■ 北のポリオの会
■ つばめの会(摂食嚥下障害児 親の会)
■ ライラックの会(北海道ターナー症候群家族会)