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活動紹介 第55回(2020)

活動紹介 第55回(2020)

第16回 北海道学習会 in オンライン(2020年11月8日)
遺伝カウンセラーとともに遺伝疾患について学び患者団体の果たす役割を考える

「認定遺伝カウンセラーとの関わりについて」をテーマに、第16回北海道学習会が開催されました。
学習会では、まず、認定遺伝カウンセラー®の柴田有花さん(北海道大学病院臨床遺伝子診療部)が講演を行い、遺伝カウンセリングや遺伝カウンセラーが果たす役割、患者団体との協働について発表しました。講演を受けたグループ討議では、医療関係者も加わり、遺伝カウンセリングや遺伝子検査のとらえ方、患者団体の果たす役割について、活発な意見交換や情報共有が行われました。
柴田さんは「近い将来、遺伝子に基づく個別化医療は現実になると思う。遺伝差別や遺伝子検査の問題などについて、団体が協働して提言や請願を行うことに意義がある」と発言。また発症前検査について「知らない権利もあるのでは」という質問に対しては、「職業選択や結婚、出産など人生設計に役立てることもできるので、遺伝カウンセリングを行い、条件を整えたうえで本人の意思を尊重するべきではないか」と語りました。
フリートークでは、各団体のオンラインでの活動状況について情報交換が行われました。遠方に住む会員や若い世代の参加が増えた例も紹介され、より多くの人が参加するためのサポート体制が重要であることを確認。最後に中央世話人の阿部一彦さん((社福)仙台市障害者福祉協会)が、「疾病や障がいとともに生きるうえで、専門職とかかわる視点はとても重要であることが改めてわかり、有意義だった」とまとめました。

参加団体
■北のポリオの会
■CMT友の会
■つばめの会(摂食嚥下障害児 親の会)
■ライラックの会(北海道ターナー症候群家族会)

第48回 関西学習会 in オンライン(2020年11月14日)
「合同講演会」に向けて企画書サンプルを提示し、意見交換を行う

第48回関西学習会がオンラインで開催されました。前回に引き続き、患者・家族の声を医療・教育現場に届ける「合同講演会(仮称)」開催に向けての検討が行われました。
今回は事前に課題として、自分の団体が合同講演会を企画する場合のプラン作成を呼びかけ、8つの企画書サンプルが提示されました。企画書に書き込む必要項目として、各団体が直面している困難な状況、合同講演会を提案する対象機関、どの団体と組むのかなどを1枚のスライドにまとめたものを発表し、それに対して感想や意見が述べられました。その結果、疾患は違っていても、小児・遺伝・希少疾患、就労問題や、外見からはわからない内部疾患で同じような悩みや課題があるなど、さまざまな共通項でのグルーピングが可能であり、合同講演会として成立することを再確認できたようです。また、企画書サンプルの提示を受け、書き方がよくわかった、自分の団体ならどのようなプランが可能か、前向きに考えたいという意見や気づきがあり、それに対しての情報提供も交わされました。
合同講演会実現に向け、まずは関西学習会内での「模擬合同講演会」を開催するために、次回以降も学習会で検討を続けたいと結びました。
その後の情報交換では、各団体のイベント案内や、コロナ禍でのオンライン集会を有料にする場合の集金方法、URLの安全な配布方法などについてのノウハウを交換するなどし、充実した学習会となりました。

参加団体
■NPO法人 線維筋痛症友の会 関西支部
■小さないのち(子どもを亡くした家族の会)
■NPO法人 ひょうごセルフヘルプ支援センター
■NPO法人 こころ・あんしんLight
■しらさぎアイアイ会
■NPO法人 日本マルファン協会
■日本アラジール症候群の会
■全国心臓病の子どもを守る会 奈良県支部
■日本ハンチントン病ネットワーク(JHDN)
■兵庫県網膜色素変性症協会(JRPS兵庫)
■腎性尿崩症友の会
■つばめの会(摂食嚥下障害児 親の会)
■マッキューン・オルブライト症候群患者会

第37回 東北学習会 in オンライン(2020年11月15日)
東日本大震災やコロナ禍での経験をふまえ、災害時のネットワークづくりについて話し合う

「VHO-netみんなで取り組もう 災害時のネットワーク作り」をテーマに、第37回東北学習会が開催されました。まず、2020年10月のヘルスケア関連団体ワークショップのテーマであった「VHO-netが取り組むSDGs」の目標のうちの1つ、「災害からいのちを守る」について、分科会で話し合われた内容を患者会ピンクのリボンの池田久美子さんが話題提供として発表。その後行われたグループ討論では、障害福祉計画等の策定にヘルスケア関連団体が加わる仙台市の例や、災害時要援護者登録の進捗など各地の現状が紹介されました。「災害急性期の対策が重視されるが、10年経って苦しみをやっと言語化できるようになった東日本大震災の被災者もいる。長期的観点からの支援が必要」「患者同士、団体同士だからこそできる発信や情報提供など、私たちが担う役割があると感じた」という意見など、東日本大震災の経験をふまえた現実的なディスカッションも展開されました。さらに「まだ続くと考えられるコロナ禍の中でも、オンラインなどでつながっていく方法を考えるべき」との認識も共有しました。
中央世話人の松下年子さん(横浜市立大学大学院医学研究科看護学専攻・医学部看護学科教授)は、変化に対応した生物が生き残ってきたというダーウィンの言葉を紹介し、「状況に合わせて柔軟に対処できる力をもち、必要に応じて支援を求め、人との交流を通じて問題解決を図ることも重要。支援が必要だと発信することが大切」と助言。世界的な有事であるコロナ禍においてこそ、多様なネットワークが必要であることを改めて確認した学習会となりました。

参加団体
■岩手県腎臓病の会
■患者会ピンクのリボン
■(一社)全国心臓病の子どもを守る会 岩手県支部
■全国膠原病友の会 宮城県支部・岩手県支部
■(社福)仙台市障害者福祉協会
■仙台ポリオの会
■乳腺患者会 プリティふらわぁ

第4回 中・四国学習会 in オンライン(2020年11月22日)
「傾聴と対話で支援する医療」の講演を聴き、ピアサポーターの意義や役割について話し合う

第4回中・四国学習会がオンラインで開催されました。
今回のテーマは「サポートを受ける立場から、ピアサポーターとなるために」。患者やその家族が抱えている問題と向き合い、解消していくために、患者力を高め、サポーターとしてのスキルを習得していこうというものです。このテーマをふまえ、慶應義塾大学看護医療学部教授(学習会当時。現在は同大学名誉教授)の加藤眞三さんが、「ピアサポートを考える|傾聴と対話で支援する医療」と題して1時間の講演を行いました。医学で、従来の「病因追求論」から最近は「健康生成論」という考え方が取り入れられつつあること。生きる意味や、その人らしく生きるための「スピリチュアルケア」にフォーカスし、ピアサポーターがその担い手として理解を深めていくことの意義。患者の本当の願いを一緒に探す共同作業としての傾聴。患者団体の果たす役割として、患者が病気に負けないような生き方をサポートする比重が大きくなっていくという見解などについて、海外の事例やデータ、イソップ童話『アリとキリギリス』の例などを織り交ぜながら、わかりやすく語られました。
その後の討論では、「病気を正しく知るうえで、さまざまな情報を見極める力をつけたい」「患者・家族はどうすれば医療従事者と対等に話し合えるようになるのか」「傾聴では言葉の重み、それを裏づける情報をしっかりとつかんでピアサポートを行いたい」などの意見や質問が出され、加藤さんからアドバイスを受けつつ話し合いが進行し、有意義な学習会となりました。

参加団体
■日本ALS協会 広島県支部
■難病こどもおとなのピアサポート familia
■ミオパチー(筋疾患)の会 オリーブ
■ベーチェット病友の会 岡山県支部
■もやもや病の患者と家族の会 中国ブロック
■全国膠原病友の会 高知支部
■あけぼの会 あけぼの山口

第38回 沖縄学習会 in オンライン(2020年12月6日)
制定された「VHO-net ピアサポート倫理ガイドライン」に則りピアサポート事例について検討を行う

第38回沖縄学習会がオンラインで開催されました。今回のテーマは、「信頼されるピアサポートしてますか?〜誰一人取り残されないために〜」。
まず、全国脊髄損傷者連合会沖縄県支部の仲根建作さんが、2020年10月に制定された「VHO-netピアサポート倫理ガイドライン」について、制定の経緯や目的、基本的理念についての内容を報告しました。続いて、認定NPO法人アンビシャスの照喜名通さんが、医学研究・臨床試験における患者・市民参画(PPI)の説明を行いました。
後半のプログラムでは、実際のピアサポート活動で生じた、問題のある3事例について検討が行われました。
①入院患者の友人から「会って励ましてほしい」といわれ、病院に会いに行った(患者・家族の承諾をとる必要性)。
②相談者のことをよく知る役員が、ピアサポートの記録をもとに、生育歴や家族の状況を役員会でこと細かく説明した(個人情報保護)。
③24時間介護サービスを利用する女性会員から「夜間の人手不足という理由で、女性ではなく男性の介助者から身体介護を受けていてつらい」という相談を受けた。
これらの事例を「ピアサポート倫理ガイドライン」に則って、病院とピアサポーターの関係性や、プライバシー保護と個人情報の取り扱い、権利擁護などの観点から、各団体の具体的な経験や知見をふまえた、活発な意見交換が行われました。
沖縄学習会では今後も、VHO-netの目的別プロジェクト「ピアサポートプロジェクト」と「PPIプロジェクト」にフォーカスし、学習していく予定です。

参加団体
■日本ALS協会 沖縄県支部
■全国脊髄損傷者連合会 沖縄県支部
■全国膠原病友の会 沖縄県支部
■認定NPO法人 アンビシャス

第47回 関東学習会 in オンライン(2021年4月11日)
「医療へ参画するためには」をテーマに先行事例を学び実践できる取り組みを模索

第47回関東学習会が行われました。今回は、他団体の医療参画事例を学び、取り組める参画方法を見出して活動に活かすことを目的として、各団体に事前アンケートを実施。その結果を受けて、当日のグループ討議では

●当事者委員としての研究会参加
●医療関係者/学生を対象とする患者講師活動
●地域医療への政策提言
●専門外の医師に向けての疾患啓発
●医療講演会開催・啓発資料の作成
●未承認薬/適応外薬の要望募集への応募
●医療者との協働による診療ガイドライン作成
●医学研究・臨床試験研究倫理審査委員会への参加
●治療用装具等の開発協力
などの活動が行われていることを確認しました。

全体討論では、「団体として情報発信を行い、参画の機会を得ることが重要」「プレゼンテーション能力の向上も必要」などの意見が出され、また医師や研究者も加わり、医療者との交流の深め方へと話題が広がりました。参加者から「多様な団体の医療参画の取り組みや、それぞれの苦労が参考になった。協働することの重要性を感じた」との感想や、運営委員から「今日の学びを所属団体に持ち帰り、活動に活かした結果を次回発表してほしい」という提案もありました。最後に、中央世話人の伊藤智樹さん(富山大学人文学部教授)が「医療参画の機会も増えているので、今日のこの場から活動を広げてほしい」と発言。医療参画には多様な参画方法があり、自分たちにも取り組むことができる活動があるとの学びを共有しました。

参加団体
■あけぼの会 あけぼの埼玉
■NPO法人 がん患者団体支援機構
■ギラン・バレー症候群 患者の会
■CMT友の会
■NPO法人 睡眠時無呼吸症候群 ネットワーク
■全国CIDPサポートグループ
■(一社)全国心臓病の子どもを守る会 本部・横浜支部
■NPO法人 日本オスラー病患者会 関東支部
■NPO法人 PAHの会
■竹の子の会(プラダー・ウィリー症候群 児・者 親の会)東京支部
■(公社)やどかりの里