活動紹介 第58回(2022)
第49回 関東学習会 in オンライン(2022年6月11日)
災害時の対応を自分ごととして考え、さらに団体活動への活かし方を探る
第49回関東学習会が「防災」をテーマに開催されました。
災害発生時に考えられる居住地域や活動地域の課題を把握し、自分のこととして災害を考え、そのうえで所属団体の活動に活かそうと、このテーマが設定されました。
事前に、関東地方で起こる可能性が高いとされる大規模地震を想定して、ハザードマップ情報や、病気や障がいによる課題についてアンケートを実施。学習会ではまずその結果が紹介され、避難場所、避難経路、被害想定などについては知っている人が多く、約8割の人がリスクを把握していることや、病気や障がいによりさまざまな課題があることを共有しました。
その後、グループディスカッションが行われ、グループ発表では、
「内部障がい者は見た目ではわかりにくいので、避難場所には行きづらい」
「SNSは便利だが、使えない人が取り残される」
「聴覚障がい者に情報が届きにくい」
「災害コーディネーターを経験した人から、避難所や仮設住宅について具体的な問題提起があった」
などの意見が紹介されました。病気や障がいによって薬や装具の備蓄も必要となることや、自治体の対応に差があること、個人情報保護と災害時の安否確認の兼ね合いも話題になりました。
「防災対策について幅広く把握できるサイトが知りたい」
「具体的な避難所運営などについて、団体が連携して行政に要請したい」
「団体で災害時の個人情報の扱いを確認する必要がある」
などの提案もありました。
今回は他の地域からの参加も可能となり、多様な意見交換や情報提供が行われ、活発な話し合いが展開されました。各地でさまざまな災害が起こる中、防災を私ごととして考え、団体での活動に活かす、気づきやきっかけが得られる学習会となりました。
参加団体
■あけぼの新潟
■NPO法人 がん患者団体支援機構
■(公社)日本オストミー協会 横浜市支部
■全国CIDPサポートグループ
■CMT友の会
■(一社)全国心臓病の子どもを守る会 本部・横浜支部
■(公社)全国脊髄損傷者連合会
■NPO法人 日本オスラー病患者会
■ひょうごセルフヘルプ支援センター
第41回 沖縄学習会 in オンライン(2022年6月18日)
IT機器活用のメリット・デメリットを検討しより良い支援について話し合う
第41回沖縄学習会が開催されました。テーマは、「〜誰一人取り残さない社会・ピアサポートを目指して〜 IT機器を活用した取り残しのない支援」。まず、NPO法人パンキャンジャパン 沖縄支部の島袋百代さんが表題「オンラインで患者サロンを開催してみて」を、続いて、全国脊髄損傷者連合会 沖縄県支部の山入端依子さんが「ピアサポート会議 オンライン化におけるメリット・デメリット」と題した発表を行いました。ハイブリッド形式で患者サロンを実施したものの会場が広すぎてうまく会話が進行しなかったこと、60歳以上の会員の参加が少ないこと、視覚・聴覚障がいのある参加者から事前に資料がほしいと要望が出たこと、パソコン操作をそばでサポートする人が必要な人もいることなどの課題が浮き彫りになり、それらに対処したIT機器を活用した会議を模索しているとの報告がありました。
その後、2グループに分かれてグループワークへ。まとめの発表では「視覚・聴覚障がい者のコミュニケーションを保障する解決策を探りたい」「オンライン会議に参加したくなるような告知の工夫が必要」「ハイブリッド形式ではリアル参加者とオンライン参加者に温度差があり、一体化するための工夫を考えたい」などの発展的な意見が出ました。
学習会初参加者も6人おり、どの団体の意見からも、対面でのつながりを大切にしつつ、IT活用を手探りで一歩一歩前進している姿勢が伝わり、課題解決に向けた情報を共有した学習会となりました。
参加団体
■認定NPO法人 アンビシャス
■全国膠原病友の会 沖縄県支部
■全国脊髄損傷者連合会 沖縄県支部
■日本ALS協会 沖縄県支部
■沖縄脳損傷友の会 ゆい沖縄
■NPO法人 パンキャンジャパン 沖縄支部
■沖縄県網膜色素変性症協会
第51回 関西学習会 in オンライン(2022年6月19日)
「合同講演会」の実現を目指し、形態や内容を詳細に検討する
第51回関西学習会がオンラインで開催されました。テーマは「合同講演会を目指してのサンプル講演会の実施と内容の検討」。たとえ疾患が違っても、症状や背景、課題を精査すれば共通項が見つかり、複数の団体による合同講演会ができるのではないか。その実現に向けて今回も検討が行われました。奈良県立医科大学教育開発センター 特任講師の岡本左和子さんがコーディネーターを務め、全国心臓病の子どもを守る会、日本アラジール症候群の会、子どもを亡くした家族の会 小さないのちの3団体が、それぞれの課題や講演で訴えたいことを発表。そこから「心臓病」という共通項が見いだされ、それに沿って何が語れるかを話し合いました。その結果、講演のテーマを「心臓病の子どもをもつ親、家族をどう支え、どのようなヘルプが必要であるか」とし、対象者は医療・学校関係者、親の友人・知人も含む子どもの周りにいる人々、1団体の講演時間は20分という大枠を決定し、次回11月の学習会で模擬合同講演会を行う運びとなりました。
一連のプロセスを視聴した参加者から、「こういう声掛けをしてほしい、またはしてほしくない具体例を紹介してほしい」「3講演のまとめとして共通のメッセージを最後に発表してはどうか」「次回の学習会は他の地域学習会からも参加できるようにしてはどうか」などの意見が出され、検討を行うことになりました。
合同講演会実現に向け、確実に前進していることを実感した学習会となりました。
参加団体
■日本ハンチントン病ネットワーク(JHDN)
■NPO法人 ひょうごセルフヘルプ支援センター
■NPO法人 日本マルファン協会
■全国心臓病の子どもを守る会 奈良県支部
■子どもを亡くした家族の会 小さないのち
■しらさぎアイアイ会 網膜色素変性症&類似疾患の患者、家族の会
■日本アラジール症候群の会
■腎性尿崩症友の会
■(一社)全国膠原病友の会
■NPO法人 日本オスラー病患者会
第40回 東北学習会 in オンライン(2022年7月9日)
各団体の取り組みや課題を共有して今後の活動の拡充に繋げるヒントを探る
「コロナ禍…その先に繋がる活動のヒントを見つける」をテーマに東北学習会が開催されました。コロナ禍が続く中で、各団体の活動状況や問題点などを話し合い、今後の活動の拡充につながるヒントを見つけていこうというものです。
まず事前アンケートの結果が発表され、多くの団体で、会員の高齢化、新会員の減少、リーダーの後継者不足、財政面などに課題があることを共有。その後、各団体の現状把握として次のような発表がありました。
●医療の発達で助かる心臓疾患の子どもは 増えているが、就労が難しく支援が必要
●膠原病は早期発見できるようになったが、 感染症が重症化のきっかけとなるので不安
●難病相談支援センターの運営委託を経験。 会員の高齢化や財政面などに課題を感じ ているところ。もっと患者目線を活かしつ つ活動を継続したい
●障がい者だけでなく、誰もが暮らしやすい 仙台市をつくろうというテーマを掲げると 活動が広がった。障がい者が街に出る機会 を増やし、なるべく社会とかかわりたい
●VHO-netでの学びを活かし、所属団体 でも対面とオンラインを同時に行うハイブ リッド方式で講演会などの活動を行った
活発な意見交換が行われ、初参加の団体も含めてお互いの活動を知り合う機会ともなりました。討論を受け、東北福祉大学総合福祉学部教授の渡部純夫さんは「繋がりを保つためにコミュニティをどう形成すべきか、総体的に幸せになるにはどうしたらいいかを皆さんとともに考えていきたい」と発言。最後に理事で横浜市立大学名誉教授の松下年子さんが「コロナ禍でオンライン化をはじめ大きな変化があり、価値観も変わった。変化に適応して生き残ることが重要。“関心のある人が増えれば、必ずしも会員が増えなくてもいい”というような新しい発想も必要だと思う」と総括しました。
参加団体
■岩手県腎臓病の会
■全国心臓病の子どもを守る会 岩手県支部
■患者会ピンクのリボン
■全国膠原病友の会 福島県支部・岩手県支部
■(社福)仙台市障害者福祉協会
■仙台ポリオの会
■乳腺患者会 プリティふらわぁ
■福島県難病団体連絡協議会
■NPO法人 宮城県患者・家族団体連絡協議会
第26回 東海学習会 in オンライン(2022年7月10日)
コロナ禍の活動でマンパワー不足をどう乗り切るか事例発表を通して話し合う
第26回東海学習会がオンラインで開催されました。まず、glut1(グルット1)異常症患者会の中村華奈子さんが、「コロナに負けない! 新リーダーの患者会活動」と題し講演を行いました。
glut1異常症は、脳の栄養源であるグルコースを運ぶ酵素が働かず、てんかん、知的・精神発達遅滞などの症状が出る希少難病であり、ケトン食という特殊な食事療法が有効であること。2008年の団体設立後、全国に70家族の会員がおり、対面交流に注力してきたが、コロナ禍ですべて中止となり、その最中に会長職を引き継いだこと。役員のなり手不足から会報誌発行などに支障が起きている現状や、活動規模の縮小を考え、会費を無料にして収支管理の手間を省いたり、ウェブサービスの「オンラインサロン」の活用などで打開策を探り、「できる人が、できる時に、できることを」をモットーに取り組んでいることなどが述べられました。
その後の質疑応答では、「役員はやはり組織の運営に注力すべき。会員にボランティアでの協力を依頼してはどうか」「外部からのマンパワーに着目してはどうか。医学生・看護学生やNGO団体へのアプローチも有効」などの意見や、役員不足の観点からは、「VHO-netでの学びを通して、患者当事者にこだわらず、退職した看護師を新たに理事として迎えた」などの事例も発表されました。
コロナ禍、そしてコロナ後の患者団体活動を見据えつつ、オンラインツールの活用や、さまざまなサポーターを巻き込むなどの知見と情報を共有した、有意義な学習会となりました。
参加団体
■日本筋ジストロフィー協会 愛知県支部
■SBMAの会(球脊髄性筋萎縮症)
■ポリオ友の会東海
■glut1異常症患者会
■もやの会 中部ブロック
■愛知県難病団体連合会
■愛知県脊柱靭帯骨化症患者・家族 友の会
■(一社)全国心臓病の子どもを守る会 長野県支部
第19回 北海道学習会 in ハイブリッド(2022年7月10日)
当事者でもある防災士の講演を実施地域で必要となる防災対策を考える
北海道学習会が、対面とオンラインを合わせたハイブリッド形式で開催されました。テーマは「防災について」。東日本大震災や胆振東部地震の危機感が次第に薄れる中で、コロナ禍やトンガの火山噴火による津波、大雪災害が起きたことから、改めて当事者の防災について考える学習会が企画されました。
まず、防災士で身体障がい者でもある小野寺拓さん(社会福祉法人あむ)が、「防災について〜災害についてできることを少しずつ〜」と題して講演しました。札幌市職員を経て現在は障害福祉サービスなどの活動に従事する小野寺さんは、熊本地震の災害支援として避難所運営に携わった経験を紹介。「避難行動要支援者名簿」があまり活用されていないことや、要支援者に難病患者を含めている市町村は6割弱に止まっていることに言及し、「自助・共助・公助に加えて、住民や町内会、自主防災組織など近くに住む人が気にかける・声をかける“近助”が必要。防災を考えることは地域づくりにも繋がるので、自分のこととして考えてほしい」と話しました。
講演を受けて参加者から「平時にできないことは非常時にもできないという言葉が印象的」「“近助”は重要だと思うが、町内会も高齢化して頼りにくい」「札幌市のような都会では“近助”は期待しにくい」などの発言がありました。また、「大雪はハザードマップもなく対策が難しい」「防災訓練を厳冬期に行うなど、最悪の状態を考えておくべき」など北海道ならではの防災対策が必要なことも共有しました。
最後に理事の阿部一彦さん((社福)仙台市障害者福祉協会)が「自分自身の経験にも照らし合わせて、災害においても団体の繋がりが重要と感じた。今後のVHO-netでの活動に期待したい」とまとめて学習会を終えました。
参加団体
■北のポリオの会
■北海道ターナー症候群家族会 ライラックの会
第36回 九州学習会 in オンライン(2022年7月16日)
第36回九州学習会がオンラインで開催されました。テーマは「コロナ禍におけるオンラインツールの活用について」。九州IBDフォーラム 熊本IBDの長廣幸さんが講師となり、入門編ともいえる「Googleを利用したフォームの作成」「QRコードの作成」の方法を、共有画面を使って学習するという企画です。団体の交流会や医療講演会、アンケート調査などの案内状が簡易に作成でき、同時に回答の集計やグラフ化なども行える便利なツールであり、目的別にさまざまなテンプレートもあります。そこへの名称や日付など必要項目の入力の仕方から、フォーム作成後の無料QRコードづくりまで、丁寧に解説されました。
質疑応答では、初心者や使い慣れている人からも細かな疑問点が寄せられ、長廣さんだけでなく、知識のあるリーダーたちが参加して次々と解答を導き出し、質問者から「なるほど!」「そうすればいいのか」など感嘆の声が上がりました。全体の感想では、「こんな便利なツールがあると初めて知った。早速、使ってみたい」「詳しく勉強できてよかった」「パソコンが苦手な人もまずは練習し、数をこなしていけばできるようになる」「便利である一方、セキュリティ面も同時に意識してほしい」などの意見が出ました。
団体業務のさまざまな事務処理の簡便化やマンパワー不足の解消など、運営の一助となる方策を実践できた、有意義な学習会となりました。
参加団体
■日本ALS協会 佐賀県支部・鹿児島県支部
■認定NPO法人 佐賀県難病支援ネットワーク
■くまもとぱれっと
■九州IBDフォーラム 熊本IBD
■CFS支援ネットワーク
■かごしま膠原病の会(青空の会)
■NPO法人 熊本県難病支援ネットワーク
■(公社)日本リウマチ友の会 鹿児島支部・熊本支部
■熊本SCD・MSA友の会
■きらめき会
■認定NPO法人 アンビシャス
■再発性多発軟骨炎(RP)患者会
第7回 中・四国学習会 in オンライン(2022年7月23日)
第7回中・四国学習会がオンラインで開催されました。今年度の中・四国学習会の指針である、医学研究への患者・市民参画(PPI)を学ぶことに則り、全国膠原病友の会の森幸子さんが、「PPIの概要と患者団体にとってのPPI活動のあり方」と題して講演を行いました。PPIの前段階として、友の会が所属する滋賀県難病連絡協議会が滋賀県行政と協働で行った事例の過程や成果に始まり、製薬企業からの治験情報伝達の依頼を受けて治験臨床参画を重点活動項目に設定し、医療研究班や製薬企業、行政とどのように連携・協力しているかなど、PPIの積極的な取り組みの事例が紹介されました。
講演を受けて、3班に分かれグループセッションへ。まとめの発表では、「森さんの講演を聞き、研究班や製薬企業、行政と患者団体が対等の立場に立ち、いい循環で協働関係が築けることを知り、目覚ましい思いがした」「30年近い患者という立場の中で、常に受け身の立場だったように思う。患者からアクションを起こせるPPIについてもっと勉強していきたい」「今日の議論で、雪だるまをつくるときの最初の小さな雪玉をイメージした。いろいろな人や機関を巻き込んで、やがて大きな雪だるまができるのでは」などの意見や感想が述べられました。それらを受け、「VHO-netのPPIプロジェクトをはじめ、勉強会も開催されている。日頃から学びを意識し、PPIに取り組んでいこう」と、学習会は結ばれました。
参加団体
■(一社)全国膠原病友の会 高知支部・岡山県支部・島根県支部
■難病サポートfamiliarやまぐち
■全国パーキンソン病友の会 広島県支部
■全国心臓病の子どもを守る会 山口支部
■ミオパチー(筋疾患)の会 オリーブ
■もやの会 中国ブロック
■日本ALS協会 高知県支部
■ベーチェット病友の会 香川県支部
■全国脊髄損傷者連合会 広島県支部
■ポストポリオの会