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活動紹介 第61回(2024)

活動紹介 第61回(2024)

第9回 中・四国学習会 in オンライン(2023年8月26日)
ピアサポートについての2つの講演を聞き、ディスカッションを行う

第9回中・四国学習会が開催されました。今回のテーマは、「それぞれの立場におけるピアサポートの活用例を学ぶ〜VHO-netのピアサポート5か条の基本に立ち返って〜」です。

まず初めに、(一社)VHO-net監事の喜島智香子さんが、「VHO-netが考えるピアサポート5か条」と題して講演を行いました。5か条作成のプロセスをきめ細やかに辿り、1条から5条までを、例を踏まえながら詳しく解説。まとめとして、「ピアサポートは個人レベルではなく、団体として活動していくものを目指す。常に発信していき、自分の心身の健康を保ちながら行うことを目指す。ピアサポートは万能ではない」と結びました。

続いて、(一社)VHO-net代表理事でもあり、(一社)全国膠原病友の会代表理事の森幸子さんが、「ピアサポート体制加算と、障害者ピアサポート研修」の講演へ。相談支援や障害福祉サービス事業において、ピアサポートを報酬上、評価することで活用を促進するという考え方、ピアサポートを担う人材の専門性の向上を目指した養成制度の詳しい内容が報告されました。

2つの講演を受けて、ディスカッションが行われました。まとめ発表では、「ピアサポートは地域によってまだまだ周知されていないのではないか」「薬の相談などは注意が必要」「ピアサポートの場を増やしつつ、フォローアップ研修の必要性を感じる」「ヘルスケア関連団体にとって、ピアサポートは力。いかに良い事業をするかによって、自然に人が集まってくる」など、活発な意見が交わされました。

参加団体
■ 難病サポートfamiliaやまぐち
■ ミオパチー(筋疾患)の会 オリーブ
■ 全国膠原病友の会 高知支部
■ もやもや病の患者と家族の会(もやの会)中国ブロック
■ 全国脊髄損傷者連合会 広島県支部
■ (一社)全国膠原病友の会

第22回 北海道学習会 in ハイブリット(2023年9月16日)
日本の障害福祉の動向について学びインクルーシブ教育や災害対応を話し合う

第22回北海道学習会が、札幌市の「かでる2.7」を会場として、対面とオンラインのハイブリッド形式で開催されました。まず、(社福)仙台市障害者福祉協会の阿部一彦さんが「ヘルスケア関連団体として知っておきたい日本の障害福祉の動向」と題して講演を実施。日本障害フォーラム(JDF)代表、(社福)日本身体障害者団体連合会会長を務め、障害福祉について詳しい阿部さんは、2022年に国連障害者権利委員会から出された日本政府への総括所見や、障害者施策の経緯などを説明し、特に女性や子どもの権利、インクルーシブ教育をめぐる課題や、2024年度に新たな計画期間が始まる「さっぽろ障がい者プラン」にも触れながら、障害福祉の現状や展望を語りました。

講演後は、インクルーシブ教育や災害対応を中心に活発な話し合いが行われ、「ICT技術の活用で、身体障がいなどの物理的な困難は解消できる」「下肢障がい・車椅子対応が中心になりがちだが、上肢障がいへの配慮も必要」「視覚障がい者は、福祉避難所では受け入れられにくい」などの意見が出されました。また「普通学級を少人数にするなど環境を整えないと、障がい児の対応ができない」「災害対策は都道府県、学校は市町村の管轄であるため、特別支援学校を福祉避難所として活用しにくい」との問題提起や、「市川沙央さんの芥川賞受賞で読書バリアフリー法の必要性を痛感した」「障がい者を支えるボランティア意識が希薄になっていると感じる」などの発言もありました。

最後に、阿部さんは、「『私たちのことを私たち抜きに決めないで』と当事者の視点を行政や関係者に届け、障がい児・者施策を通して誰もが暮らしやすい社会に変えていくことが必要ではないか」と今後の活動への期待を述べて学習会を総括。テーマに関心をもった他地域からの参加もあり、多様な視点で障害福祉を考える有意義な場となったようです。

参加団体
■ 北海道ターナー症候群家族会 ライラックの会
■ 北のポリオの会
■ (社福)仙台市障害者福祉協会
■ しらさぎアイアイ会

第54回 関西学習会 in ハイブリット(2023年10月7日)
〝疾患は違えど。マッチング講演会〞で、セルフヘルプグループの意義や役割について討論をする

第54回関西学習会が大阪市のたかつガーデンで、対面とオンラインのハイブリッド形式で開催されました。関西学習会が発足以来取り組んでいる、患者・家族の声を医療・教育の場に届ける、〝疾患は違えど。マッチング講演会〞の模擬講演で、今回は「特別版・セルフヘルプグループの場合」として、疾患とは土俵が異なる場を共有しようという試みでした。


奈良県立医科大学教育開発センターの岡本左和子さんをコーディネーターとし、ひょうごセルフヘルプ支援センターの浅野とも子さん、山口陽子さん、中田智惠海さんの3人が「セルフヘルプグループ(以下SHG)とは」と題して講演を行いました。孤立している人を仲間につなぐことを目的に、SHGは、その人自身が認識している課題について、仲間同士で経験を分かち合うことによって、新たな価値観や生き方を探っていく場であること、SHGの二大働きは自己変革と社会変革であることなどについて語られました。

その後、質疑応答や意見交換へ。
「SHGの助言に助けられた。自分の経験を活かしていきたい」「SHGの存在を、当事者だけでなく市民にももっと知らしめなければいけないと思った」「大きな意味でのチーム医療なのではと思った」など、さまざまな感想や意見が挙げられました。その後、関西学習会が取り組んでいる、患者が語る講演を、どう発展させていくかについても話し合われ、患者・家族が、医療や福祉、教育を主導できることを、これからも社会に周知していくことが大切だと確認した学習会となりました。

参加団体
■日本ハンチントン病ネットワーク(JHDN)
■ 腎性尿崩症友の会
■ 子どもを亡くした家族の会 小さないのち
■日本アラジール症候群の会
■ NPO法人 ひょうごセルフヘルプ支援センター
■ NPO法人 日本マルファン協会
■ しらさぎアイアイ会
■ 全国心臓病の子どもを守る会 奈良県支部
■ NPO法人 日本オスラー病患者会
■ 膵島細胞症患者の会
■ 全国膠原病友の会 岡山県支部
■ (公社)日本オストミー協会 横浜市支部
■ (一社)全国膠原病友の会

第39回 九州学習会 in 鹿児島(2023年11月3日)
待望の対面形式での開催行政も動かせる、ピアサポートの価値について議論する

第39回九州学習会が、鹿児島中央駅前キャンセビルで、対面方式で開催されました。テーマは「行政をも動かせたピアサポートの大切さを伝える為に」で、(公社)日本リウマチ友の会鹿児島支部の黒木恵子さんが、「かごしま難病支援ネットワーク事業部の活動報告」と題して講演。かごしま難病支援ネットワークの設立までの経緯、行政の意識を変えることにもなったピアサポートの意義について発表しました。ピアサポート相談員養成講座のカリキュラム作成に取り組み、講座内容や、講座終了後の人たちへのアンケート結果から、常に学ぶこと・情報を得ることが大事との見識を導き出したこと、専門家と協働しながら行政に伝えていく関係づくりなどについて語られました。

それを受けて、日本オストミー協会鹿児島県支部の石澤隆之さんが、「ピア相談員養成講座から学んだもの」と題して講演。受講以前はとにかく話を聞こうという熱意から積極的になりすぎていたこともあり、受講後は、それを反省して相談者との距離を意識し、聴くことの難しさを学び、自分に今できることを見つけることの大切さに気づいたと述べました。

その後、2グループに分かれてのディスカッションへ。まとめの発表では、「ピア研修の必要性=聴く力の向上が必須だと思った」「さまざまな気づきを今日、いただいた」「保健師だが、ピアサポート講座を仕事に活かしていきたい」などの意見が出ました。コロナ禍後、VHO-netの地域学習会では初の現地開催であり、
近況を伝え合う雑談にも花が咲き、情報交換もなされた学習会となりました。

参加団体
■ 九州IBDフォーラム 熊本IBD
■ くまもとぱれっと(長期療養中の子どもと暮らす家族の会)
■ 日本ALS協会 鹿児島県支部
■ 鹿児島県難病相談・支援センター
■ (公社)日本オストミー協会 鹿児島県支部
■ SCDスマイルクラブ
■ (公社)日本リウマチ友の会 鹿児島支部
■ アッシャーの会
■ 認定NPO法人アンビシャス

第29回 東海学習会 in ハイブリット(2023年11月11日)
Webツールを実践的に学び、オンライン活動に活かす講義を開催

第29回東海学習会が、名古屋市の東別院会館とオンラインによるハイブリッド形式で開催されました。テーマは、「しゃべってみよう(Web会議をはじめてみよう)」です。

事前にアンケートを取り、ウェブで利用してみたいツールを実践することで、オンラインに慣れていないメンバーに積極的に挑戦し体験してもらうことや、他団体のオンライン活動についての現状や経験を聞こうという趣旨です。

VHO-netデジタル担当委員の照喜名通さんを講師に、ZOOMでの文書共有、ホワイトボードの利用、ブレイクアウトルームの利用、LINEのビデオ通話の利用方法、Googleフォームの便利な機能の説明など、共有画面を通して、わかりやすく実践的な手法で進められました。参加者が利用方法を学ぶと同時に、それをどう会員に教えていくかも議論され、「使い方から入ると拒否されやすい。やりたいことがまずあり、それを伝えるためのツールであることを伝えたい」「できる人と、ついていけない人の差ができる。それでも、話し方ひとつで変わることに気づいた」「すぐに実践できる内容なので助かった」など、さまざまな意見が述べられました。講師の照喜名さんからは、「ヘルスケア関連団体のリーダーが、若い会員のITが得意な人に業務を託していけば負担が軽くなり、後継者育成の布石にもなる」という意見も。「いろいろなことが目の前で実践されて、ハードルが少し下がった学習会だった」という感想とともに、学習会を終了しました。

参加団体
■ 岐阜県網膜色素変性症協会(JRPS岐阜)
■ 骨髄増殖性腫瘍患者・家族会(MPN-JAPAN)
■ 長野県難病患者連絡協議会
■ NPO法人 愛知県難病団体連合会
■ ポリオ友の会東海
■ 日本筋ジストロフィー協会 愛知県支部
■ もやもや病の患者と家族の会(もやの会)中部ブロック
■ NPO法人 ひょうごセルフヘルプ支援センター
■ 認定NPO法人アンビシャス

第43回 東北学習会 in オンライン(2023年11月19日)
当事者の就労支援について経験や課題を共有し学びを深める

第43回東北学習会が、「これまでの学びを未来へ〜障がいや難病があっても生き生き働ける社会を目指して」をテーマとしてオンラインで開催されました。

東北学習会では2年にわたり、障がい者や難病患者の経済的・就労的問題について取り組んできたことから、今回は、この2年間の学びを振り返り、それぞれの気づきや、今後取り組みたいこと、社会福祉制度につながっていない当事者への対応などを話し合うことを目的とした学習会となりました。

まず前回の学習会で、当事者の就労について事例発表を行ったメンバーが、行政への働きかけなどの学習会後の取り組みを報告。その後のグループワークでは、就労支援を中心に活発な意見交換が行われ、グループ発表では次のような意見が紹介されました。

●難病患者の就労について、当事者も制度や相談体制を学ぶことが必要
●就労支援について、所属団体でも行政への働きかけや意見交換などを継続的に実施していきたい
●就職前からの病気、就職後の発症では事情が変わる。就職活動の際は、自分の状況を正しく伝えること、就職後に発症した場合は、企業に合理的配慮を求めたい
●当事者向けのエントリーシートの作り方や、当事者の就労に取り組む企業、各自治体の現状などについて情報を共有したい

今まで就労で苦労した経験も紹介されましたが、「障がいや難病だけでなく、子育てや介護など多様な背景があるのだから、個性や背景を踏まえた労働環境整備が必要と訴えていこう」「人口減少の中で、いろいろな人が活躍できる社会を目指したい」といった前向きな意見もあり、希望をもって進んでいこうという思いを確認。「当事者の就労について社会の理解を深めるために、多くの団体が協力して事例を集め、課題や要望を発信していくことが必要」と、今後の活動の方向性を共有して学習会を終えました。

参加団体
■ 患者会ピンクのリボン
■ CFS(慢性疲労症候群)支援ネットワーク
■ 全国膠原病友の会 岩手県支部・福島県支部
■ 全国心臓病の子どもを守る会岩手県支部
■ 宮城県心臓病の子どもを守る会
■ NPO法人 宮城県患者・家族団体連絡協議会
■ (社福)仙台市障害者福祉協会
■ 仙台ポリオの会
■ 乳腺患者会 プリティふらわぁ

第44回 沖縄学習会 in オンライン(2023年11月25日)
意思決定支援について模擬事例をもとにさらに深掘りをする

第44回沖縄学習会が、オンラインで開催されました。テーマは前回の学習会を踏襲し「意思決定支援について学ぶ〜医療・福祉・支援団体(患者会)における意思決定支援の現状と課題〜」です。

議論のトリガーとなる模擬事例がまず発表されました。〈23歳の膠原病患者の母親から、娘の様子がおかしく体調も悪いよう。処方薬も飲んでいない、との相談があった。ピアサポーターとして本人と話をすると、将来が不安。薬をやめ、民間療法で治したいと発言あり〉というものです。これを受けて2グループに分かれてのディスカッションへ。

全体討論では「患者は、医師、母親、患者団体からも民間療法を否定された場合、行き詰まる」「本人が納得するまで見守るしかないという意見が多かった」「患者(息子)がしんどいとき、放っておいてくれ、何もしなくていいと言われた。それも一つの選択肢だと思った」「意思決定の場をつくるには、語る場が必要。いろいろな情報を聞いて、選択してほしい」「看護師だが、先を見越して先のことを伝えてしまいがち。患者の今の状況に寄り添わなければいけないと改めて思った」「難しい課題だが、いろいろな視点からの深い意見が聞けた」「一人ひとりの対応は違う。事例を多く知っておくことが、患者団体の強み」など、さまざまな議論が展開されました。

今学習会には、関東、北陸、関西、九州の他地域からの参加者もあり、地域学習会のつながりや、オンラインのメリットを活かした実りある学習会となりました。

参加団体
■ 認定NPO法人アンビシャス
■ 全国膠原病友の会 沖縄県支部
■ NPO法人 沖縄県脊髄損傷者協会
■ 日本ALS協会 沖縄県支部
■ 沖縄県網膜色素変性症協会
■ 日本ハンチントン病ネットワーク(JHDN)
■ 日本ALS協会 佐賀県支部
■ 富山IBD
■ NPO法人 ひょうごセルフヘルプ支援センター
■ きらめき会

第52回 関東学習会 in オンライン(2023年12月3日)
共感の得られる組織づくりを目指して広報活動について学び、団体の課題や現状を共有

第52回関東学習会が「共感の得られる組織づくり」をテーマにオンラインで開催されました。

まず10月に行われたヘルスケア関連団体ワークショップの報告を経て、前回の学習会後に実施したアンケートの結果について、CMT友の会の岸紀子さんが解説。その後、2つのグループに分かれて、ビジョン・ミッションの伝え方や、団体の課題や現状について話し合うグループワークが行われました。

グループ発表では、共感されるビジョン・ミッションについて「相手によって、戦略的に伝えていくことが必要」「社会に受け入れられるビジョン・ミッションが必要」などの意見が紹介されました。また、課題として「高齢化が顕著であり若い世代の理解を深めることが必要」「仕事と団体の活動の両立」などが示されました。今後の展望として「課題は多いが、コロナ禍でのオンラインの活用など前向きの変化もある。SDGsに取り組む企業も増える中で、自分たちも前向きに取り組みたい」との意見もありました。グループ発表を受けて、認定NPO法人日本ファンドレイジング協会の准認定ファンドレイザーの資格をもつ岸さんが解説に続き講義を行い、ファンドレイザーの立場から、団体の広報活動について、「誰に何を伝えるのかを整理してほしい」とアドバイスしました。

最後にVHO-net監事の伊藤智樹さん(富山大学人文学部教授)が「ビジョン・ミッションについて団体内部への浸透と、外部に伝えていくことは表裏一体。団体の目的を自分事として考えられることが重要であり、言語化されていることが強みになる。またリーダーの引き継ぎや他団体との連携、行政への働きかけなどに取り組む際は、ビジョン・ミッションの見直しを行うことが必要」と助言。共感の得られる組織づくりを考える中で、各団体の課題や取り組みを共有し、多くの学びを得た学習会となりました。

参加団体
■ あけぼの埼玉
■ CMT友の会
■ (一社)全国心臓病の子どもを守る会
■ NPO法人 日本オスラー病患者会
■ NPO法人 東京難病団体連絡協議会
■ ポリオの会
■ NPO法人 ひょうごセルフヘルプ支援センター