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医療ソーシャルワーカー

ヘルスケア 仕事探訪 第4回

医療ソーシャルワーカー


患者・家族の困りごとを聞き取り、治療やケアを支援

多岐にわたる分野をカバーする専門職


「病気の告知を受けたが、不安でどうしたらいいのかわからない」「入院の医療費が支払えるか心配」「退院後に介護サービスを利用したい」「抗がん剤治療を継続しながらの職場復帰に不安がある」。これはほんの一例ですが、人は病気にかかると、さまざまなステージで疑問や不安が生じてきます。医療ソーシャルワーカー(Medical Social Worker : MSW)は、患者・家族からそのような不安を聞き取り、相談にのり支援する専門職として病院の地域連携室や老人保健施設などに配置されています。仕事のフィールドは保健医療だけでなく、介護、障がい福祉、行政、司法、教育機関、民間企業、患者支援団体など、多分野にわたります。ソーシャルワーカーは国家資格ではありませんが、従事する際には、国家資格である社会福祉士や精神保健福祉士の資格をもっていることが一般的に求められます。

厚生労働省による6つの業務指針


①療養中の心理的・社会的問題の解決、調整援助
患者が安心して療養できるよう、心理的・社会的問題の相談に応じ、解決に必要な援助を行います。育児や教育、就労にかかわる不安や、家族、人間関係の調整など、生活の再設計への援助をします。

②退院援助
主治医や院内スタッフと連絡・調整を行い、退院時に活用できる社会資源、介護ができる条件などを確認し、在宅復帰に向けた支援を行います。在宅が難しい場合は、転院先、施設の紹介や調整を行います。

③社会復帰援助
退院後の社会復帰が円滑に進むように、職場や学校などと調整を行い、復職、復学を支援します。

④受診・受療援助
患者の状況に適した医療の受け方、病院、診療所等の情報提供や援助を行います。

⑤経済的問題の解決、調整援助
医療費、生活費に困っている場合、福祉・保健などの制度を活用できるように支援します。

⑥地域活動
患者のニーズに合ったサービスが地域で提供されるよう、関係機関と連携し、地域の保健医療福祉システムづくりに貢献します。

人の “生きる”をサポートする仕事


いずれの業務も、患者・家族との面談が基本です。琉球大学病院のソーシャルワーカー、石郷岡美穂さん(本誌P7・WAVE参照)はその姿勢について、こう語ります。
「この患者さんは人生をどう生きてきたのか。ソーシャルワークの大事なところは、人の “生きる” を支えるということ。本当に困っていることと実際に語ることが違う場合があったり、困っていることが何か、わかっていない人もいらっしゃいます。その困りごとを可視化していくような仕事でもあります」。
そのためにも、経験を積み、勉強会などで自分を磨き、自らを点検し、患者・家族が最善の治療やケアを受けられるよう支援していく、重要な仕事といえます。

仕事DATA


■ 人数 5,533名
     (公社)日本医療ソーシャルワーカーの会員数(2024年1月現在)
■ 勤務先 一般病院、精神科病院、診療所、保健所・保健センター、介護老人保健施設、地域包括支援センター など

取材協力
石郷岡 美穂 さん(琉球大学病院 ソーシャルワーカー)