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J-FOP〜光〜(ジェイ・フォップ・ひかり)

J-FOP〜光〜(ジェイ・フォップ・ひかり)

渡久地(とぐち)優子

J-FOP〜光〜は、FOP(エフ・オー・ピー/進行性骨化性繊維異形成症)患者である、沖縄県の渡久地優子さんと石川県の北岡幸美さんの2人が代表となり、2005年6月1日に発足した患者会です。FOPは筋肉が骨化していくという原因不明の希少難病で、難病認定もされていませんでした。ところが取材後、難病指定されるという朗報が飛び込んできました。J-FOP〜光〜の活動内容と合わせてご紹介します。

活動の状況
200万人に1人の発症率
医療者の認知度も低い難病

FOPは筋肉が骨に変わる病気で、骨があらゆる関節を覆い固め、動きの自由を奪います。股関節や膝が骨化すれば座れなくなったり、歩行困難になり、あごが骨化すれば開口困難で食事は流動食、喋りにくくなります。進行性で症状は人によってさまざまに違います。200万人に1人といわれ、世界で約400人、日本では約30人が確認されています。病名も最初は「進行性化骨筋炎」でしたが、病気の原因解明と共に改名が続き、今は「進行性骨化性繊維異形成症(Fibrodysplasia Ossificans Progressiva)」、FOPと言います。根治的治療は確立されておらず、治療薬もありません。

発病は2〜3歳が多く、私も2歳でした。後頭部に腫れたようなコブができ、病院を転々とした後、琉球大学病院で当時の病名の「進行性化骨筋炎」と診断されました。医者の間でも病気の認知度が低く、ずっと後にFOPと診断された人もいるようです。

ネットでの交流から署名活動
そして待望の難病認定へ

患者会をつくるまではインターネットで患者同士が交流していました。でも病気の認知度の低さ、さらに難病認定もされていないことから、何かしたいという思いがありました。そして同じFOP患者で石川県在住の北岡幸美さんと署名を集めようと動き出しました。2004年の10月から署名用紙の配送やインターネットでのダウンロード署名を開始。2005年の5月までに約37万人の署名が集まり、議員さんに託し最初の請願書を国に提出しました。これを機会にきちっとした患者会をつくろうと、6月に『J-FOP〜光〜』を立ち上げました。その後も署名活動を続け署名数は40万人を超え、請願も7回を数えました。そして2007年、3月12日、厚生労働省の特定疾患対策懇談会で難治性疾患克服研究事業対象の疾患、つまり難病に認定されました。ただし医療費助成のある特定疾患ではありませんでした。

FOPであっても身体障害者手帳を持たない軽度の場合、医療費は自己負担です。特に障がいと認定されない子どもの医療費は深刻です。地域によってはFOPが小児慢性疾患に指定され18歳までは支援を受けられますが、その後も身体障害者手帳を持たない場合は自己負担です。今後も特定疾患認定に向けて活動を続けていきたいと思います。

マスコミなどで患者自身が訴えることの手応えを感じた

患者会を立ち上げた頃から、NHKや民放、スカイパーフェクトTVなどの取材が増えました。北岡さんは積極的に講演を行い、私は新聞に闘病記の連載を始めるなど、患者自身が訴えていこうという思いが強くなりました。そのことで署名も広がります。マスコミに出ると子どもが学校でいじめられると一切、拒否しているヘルスケア関連団体もあります。でも私は患者が自分の障がいを見せないと訴えが届かない、認知も広がらないと思ったのです。まずできることをやろうと。自分にはなにもできないとあきらめていたときもありましたが、今回の難病認定で、やればできるんだ、今までやってきたことは無駄ではなかったと、本当に嬉しく思っています。一歩前進です。

患者会は現在、会員10名。患者・家族の交流、署名活動が中心です。事務局や会報誌の発行、他のヘルスケア関連団体とどう連携するか、まだまだこれからです。任意で治療に関する研究協力もしています。数年前、私の主治医を通して埼玉医科大学ゲノム医学研究センターの片桐岳信助教授からFOP遺伝子の解読をしたいとの依頼があり、血液を提供しました。2006年4月にアメリカのペンシルバニア大学カプラン博士研究チームがFOP遺伝子を発見、さらにその12月、片桐先生のグループが遺伝子の異常によるタンパク質の変異であることを突き止めています。そのカプラン博士が、来る7月19日(木)〜21日(土)、大阪国際会議場にて開催される第25回骨代謝学会に参加されます。19日にはFOP患者および親御さんが集合し、カプラン博士と会うことを予定しています。

難病指定が決まり、国のバックアップも加わり、研究がさらに進むことを期待しているところです。

主な活動

■HPを通しての交流・情報交換
■署名活動
■治療に関する研究協力(任意)

組織の概要

■設立/2005年6月
■会員数/10名