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社団法人 日本リウマチ友の会

社団法人 日本リウマチ友の会

会長 長谷川三枝子

日本のリウマチ患者は約70万人といわれ、未だに発症原因は解明されず、患者の多くは慢性的に進行・悪化する病気と闘い、痛みと機能低下の中で、長期間の療養生活を余儀なくされています。今回のクローズアップでは、こうしたリウマチ患者の療養環境の改善に大きな役割を果たすとともに、50年近い歴史をもち、日本の代表的なヘルスケア関連団体として着実な歩みを積み重ねてきた「社団法人日本リウマチ友の会」のお話を、会長の長谷川三枝子さんにお伺いしました。

活動の状況
リウマチ科の標榜など、着実に成果を重ねる

日本リウマチ友の会は、1960年に152名で発足して以来、主に関節リウマチ患者の医療・福祉・社会環境の改善をめざしてさまざまな活動に取り組んできました。

1970年には社団法人となり、リウマチ患者だけでなく、専門医や医療関係者が多数参加するようになりました。1977年の世界リウマチ学会の際に「リウマチ白書」を発行して以来、5年ごとに実態調査を行い、白書を発行しています。この白書はリウマチ患者の現状が的確に把握できるとして、医療関係者やマスメディアに広く利用されています。

1996年の「リウマチ科」の標榜も、学会と協力して実現した成果のひとつです。それまで多くの患者が、どの診療科に行けばいいのかわからないまま、病状を進行・悪化させてきたのですが、「リウマチ科」の標榜により、専門医と出会える患者が増え、早期診断、早期治療により進行・悪化をくい止めることが可能になってきました。昨年、診療科見直しでリウマチ科をなくすという厚生労働省の通達に対して、リウマチ学会と友の会が連携して速やかに反対し、阻止することができましました。これは、リウマチ科の標榜が、医療側にとっても患者側にとっても、重要な役割を果たしてきたことの証明でもあると考えています。さらに2000年には、私たちの願いであった「リウマチ・アレルギーのナショナルセンター」が設置され、日本のリウマチ治療・研究の中心として活動しています。

新しいリウマチ治療と、厳しい社会環境の時代へ

21世紀に入り、リウマチ医療は新たな時代を迎えたと言われています。2003年には、骨の破壊を抑える効果がある生物学的製剤が認可され、また人工関節置換術などの手術療法も進歩し、治療の選択肢が広がりました。もはや「治らない病気」ではなく、「寛解」「治るかもしれない病気」という言葉も使われるようになりました。リウマチは、病気と障がいを併せもった代表的な疾患と言われ、身体障害者手帳所持者が6割強を占めますが、若い世代では、新しい治療により自立した日常生活や社会生活を送る人も増えつつあります。

しかし、その一方で、すでに20年30年の病歴をもち、重度の障がいをかかえているリウマチ患者にとっては、大変厳しい時代を迎えています。例えば2006年の診療報酬改定により、継続したリハビリテーションや集団療法が廃止され、プール療法等の場が閉ざされてきています。福祉面では、介護保険制度において、関節リウマチの場合の介護サービスや認定度等の問題が解決されぬまま、保険料・サービス利用料の負担だけが増え、さらに、障害者自立支援法の中での利用者負担、後期高齢者医療制度など、患者の経済生活の負担は大きくなってきています。今後は、高齢化したリウマチ患者も心配なく生活していける社会の実現をめざして、私たちは、もっと患者の声を医療政策決定の場に反映させながら活動していかなければならない、そして、患者自身が、しっかりとした医療情報をもち、自分で治療法を選べるだけの「患者力」を身につけていかなければならないと考えています。

リウマチ友の会としての、今後の課題

友の会では、2010年に設立50周年を迎えます。2009年には、リウマチ患者の実態調査を実施し、白書の発行を予定しています。おそらく、新しい治療による成果と、その一方で高齢化や厳しい社会環境など、従来とは異なるリウマチ患者の姿が浮き彫りになるのではないかと考えています。

また、毎年、全国各地で総会・全国大会を開催してきましたが、施設や交通機関のバリアフリー化が進み、患者の社会参加が活発になってきたと感じます。しかし、都市と地方の医療格差は歴然としていますし、地域によって医療情報の不足や、病気に対する偏見もあり、患者自身の考え方も異なります。そのため、全国組織の団体運営においては、「都会の発想で考えないでほしい」という地方の会員の思いをつねに大切にしなければならないと考えています。

友の会全体としては高齢化もひとつの問題になっています。役員や委員の体調が急に悪くなり活動できなくなる場合もあるので、本部・支部の連絡を密にし、毎月「友の会だより」を発行してお互いの活動状況を把握しあい、活動に支障を来さないように努めています。こうした役員などの健康の問題は、患者自身が活動を担う団体の大変なところです。また、医学が進歩し、軽症のまま仕事など社会生活を続ける若い患者が増えたことは喜ばしいことですが、団体運営という観点からは多忙な会員が増え、人手不足やリーダー育成も大きな課題となっています。さらに、公益法人制度改革によって、公益社団法人に移行するための手続きが始まっていますが、ヘルスケア関連団体としては、その膨大な事務手続きがとても大きな負担となっています。

難病相談支援センターの設立・運営や、このヘルスケア関連団体ネットワークを通じて他の団体と交流し、共に活動することによって、私たちも多くのことを学び、成果もありました。最近の患者の中には、団体には入会せず、専門医の所在や障害者手帳の取り方など、必要な情報が得られさえすればよいと考える人もいます。確かに、インターネットなどでリウマチに関する情報を得ることはできますが、膨大な情報の中から、本当に正しい情報、自分に必要な情報を選択していくには、やはりヘルスケア関連団体の蓄積やサポート、幅広いネットワークが必要であると思います。

自らの団体運営で精一杯であった日本のヘルスケア関連団体が、連携して活動するようになり、医療や行政の対応も確実に変わってきています。医学の進歩や社会環境の変化を見極めるために、ヘルスケア関連団体の果たす役割は大きく、また、団体同士のつながりもより重要になってくるはずです。どんな時代となっても、ヘルスケア関連団体は、患者にとってのよりどころという思いをもって、これからも活動を続けていきたいと考えています。

主な活動

■リウマチの啓発活動
■療養誌「流」の発行(年間5回)
■年1回の総会・大会の開催
■全国47支部では医療講演会や相談会などを開催
■療養医療相談事業の実施
■自助具の研究・紹介・頒布
■リウマチ白書発行
■リウマチ手帳の配布(診療経過や検査結果を記録)
■災害時の心得や災害時リウマチ 患者さん支援事業参画医療機関の情報提供

組織の概要

社団法人 日本リウマチ友の会
■設 立/1960年5月
■会員数/約20,000人