第11回
社団法人 日本オストミー協会 常務理事兼事務局長 竹内恒雄
社団法人 日本オストミー協会 常務理事兼事務局長 竹内恒雄
昨年は、日本オストミー協会の代表としてモンゴルを訪ねました。日本オストミー協会は、IOA(国際オストミー協会)・AOA(アジアオストミー協会)と連携して、近年はアジアのオストミー福祉途上国への国際貢献を行っており、モンゴルオストミー協会に対しても、ストーマケアについての講習会や会員から寄贈された未使用の装具を贈る活動などを行っています。2008年には日本でAOA大会開催を計画していますが、世界的にみても日本はオストメイト福祉に関して進んでいる国と思われるので、これからもリーダー的な立場で活動していかなければ、と改めて思います。
オストメイトとは、肛門・膀胱を手術によって切除され、腹壁に増設されたストーマ(人工肛門・人工膀胱)から排泄を行う内部障がい者のこと。私は平成3年に人間ドックで直腸ガンが見つかり、手術を受けました。非鉄金属メーカーの東京営業責任者として大きな仕事を手がけた直後のこと。主治医には「手術は成功した」と言われましたが再発の不安もあり、また、当時は情報も少なく不便な思いをしていました。そんな時に、オストミー協会の東京支部を知り相談したところ、いろいろアドバイスされ、自分に合う装具を見つけることができました。その後、入会し東京支部の幹事などを経て、定年後は協会本部の業務に携わっています。
オストミー協会では、オストメイトの社会復帰とQOL向上のために、ストーマのセルフケアのサポートや相談事業などを行っています。また、オストメイトは、外見からは障がい者と判別しにくく、障害者用トイレに入りにくいなどの問題もあるので、オストメイトを理解してもらうための広報活動にも力を入れています。こうした協会の活動には「心の張り」を感じていますが、最近は実務に追われて忙しく、対外的な活動がなかなかできないのが現状です。スタッフを増やすなどして、もう少し余裕を持って活動したいと思っています。
趣味は、ゴルフを続けており、ゴルフ仲間たちと会うのも楽しみになっています。友人たちと持ち回りでホームパーティも開いています。協会の仕事と共に友人や仲間たちと交流し、楽しい時間を過ごすことが私の元気の源かもしれません。
昨年から「ネットワーキングの会」の関東学習会に参加して、他のヘルスケア関連団体のメンバーと会う機会も増えました。オストミー協会は高齢の会員が多いので、他の団体で若い人ががんばっている姿をみると、いい刺激になります。私たちも、5年後、10年後、活動の中心となってくれる若い会員を増やして活性化することが課題です。
最近はオストメイトについて少しは知られるようになり、公共的施設の身障者トイレや多機能トイレの中にオストメイト対応の設備が設置され、外出の困難や不安はずいぶん解消されてきました。しかし、会員の減少や障がい者自立支援法の成立により、オストミー協会の活動も転換期を迎えています。また、医療技術の向上と患者のQOL向上は必ずしも同じではなく、新しい手術を受けた人の悩み相談にも対応を考えていかなければなりません。
オストメイトは、ストーマのセルフケアなどに慣れれば「動こうと思えば動ける」障がい者です。大きな手術を受け、日常生活でも大変な思いをしているはずなのに、けっこうワイワイとにぎやかな会員も多いので、この元気さを大切にしながら、2008年のAOA大会開催をめざして活動していきたいと思います。