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「がんばれ共和国 in おーきな輪」
重度の障がいでも参加できるサマーキャンプを!

HOW TO/第13回
「がんばれ共和国 in おーきな輪」重度の障がいでも参加できるサマーキャンプを!

主催:NPO法人難病のこども全国ネットワーク
企画・運営:小児在宅医療基金てぃんさぐの会

今年で16年目を迎えた「がんばれ共和国」。全国5カ所で、あらゆる障がいを持つ子どもたちを受け入れるキャンプ・イベントです。なかでも今年4回目の開催となる沖縄県は、重度の障がいを持つ子どもの参加が約8割と非常に高いのが特徴です。場所選びからスタッフの体制づくり、資金調達まで、企画・運営を担当する『てぃんさぐの会』が培ってきたノウハウをキャンプ取材を通じてお聞きしました。

継続して評価されることが、資金調達のポイント

6月30日、梅雨明け快晴。沖縄本島北部のリゾートホテルにキャンパー(このキャンプでの障がいを持つ子どもの呼称)15家族54名、スタッフ・ボランティア64名が集い、1泊2日のサマーキャンプが始まりました。キャンパー1人に対し医療スタッフ1名、ボランティア2名が付き添い行動を共にします。まず、資金調達の方法についてお聞きました。

「日本自転車振興会から年間600万円の助成金を受け、全国5カ所の宿泊費の半額に当てています。資金づくりはやはり継続してイベントを開催しそれを評価してもらうことが大切です」と、難病のこども全国ネットワーク事務局長の福島慎吾さん。参加費7000円+交通費の負担はスタッフも含め全員同額。さらに今回はてぃんさぐの会で他の助成金を申請し、メインプログラムのイルカ体験の参加費に当てました。会としては当初、ボランティアの参加費負担には抵抗があったそうです。でも最近はお金を払ってでも参加してくれるボランティアが多く、年々志望者も増えているそうです。

次に苦労するのが場所選び。条件としては寝たきりの子ども用のストレッチャーが入り、貸し切り可能な大浴場があることです。てぃんさぐの会ではこれまで15年以上、ビーチパーティやピクニックなどを開催してきました。その経験から安全性へのノウハウは確立していると言います。それを生かし、3年前から看護学生やヘルパー、看護師らを対象に年1〜2回、ボランティア養成講座も開講しています。

実行委員で理学療法士の酒井洋さんは、「リハビリの目的は機能を高めることではなく、いかに社会の一員としての体験を実現させていくかだと私は考えています。そのために会ができることはなにかを提案します。1年の3分の1の期間はこのキャンプの準備に当てています」と語ります。第1回目から参加しているある家族は、それまで外泊など想像もしていなかったのに、このキャンプをきっかけにできることを実感。去年は家族5人でのハワイ旅行まで実現させたそうです。

ゆとりのあるプログラムが大切

1日目は顔合わせ・建国式を経て、午後からはイルカに触れる体験や遊覧船でクルーズに。スタッフに抱きかかえられたキャンパーがイルカに触れた時のきらきらとした表情、家族の喜びがとても印象的でした。

「プログラムはかなり時間のゆとりをもって組みました。最初の頃はせっかくの機会だからと盛りだくさんのメニューで、予定をこなすのに必死。でもそれではスタッフが疲れ切ってしまう。4回目でやっとペースが体で理解できました。夜のパーティーでも以前はエイサーグループなどを外部から招いていましたが、今年はボランティアの学生たちのダンスや三味線、手話で歌を歌うなど手作りのイベントにしました。これがとても良かったと喜んでもらいました」と実行委員の照喜名重寿さん。

ボランティアの反省会では、キャンパーばかりに目が行き、同行している兄弟姉妹がヤキモチを焼くこともありましたが、途中からはみんなにも気を配りました。最初は両親がそばにいないと不安げだったキャンパーが、いつのまにかスタッフだけでも楽しそうな表情になりました。また家族がすごく情報を求めているのだと実感したなど、さまざまな意見や感想が出ました。今年もキャンパーが健常者と同じ体験ができ、イキイキとした表情と思い出を残して大成功の内に閉国式を迎え、有意義なキャンプは終了しました。