その1 ココロとカラダの健康コラム
臨床心理士 黒岩 淑子
佐賀大学保健管理センター(職員カウンセラー)
佐賀公共職業安定所(心理カウンセラー)
佐賀県スクールカウンセラー
高ストレス時代と言われている昨今。臨床心理士としてヘルスケア関連団体の相談員のための講演やカウンセリング講習も行っている黒岩淑子さんが、みなさんの日常でお役にたつメンタルヘルス周辺のコラムを4回にわたり連載します。
――主体的に活動する人たちの減少という近年の傾向はSHGに限りません。ボランティア活動が盛んな一方で、市民の典型的な自主活動である子育てサークルなどでも利用するだけの親、つまりフリーライダーが増えてしまい、活動の担い手がいなくなっていることも事実です。一億総フリーライダー化の始まりです。
この流れを変えることはできるでしょうか?私はSHGならきっとできる、と信じています。もう少し、SHGだからこそできることを考えてみましょう。
今は、カウンセリングという言葉がいろいろな場面で使われるようになりましたが、ここでは、心理カウンセリングについて紹介をしたいと思います。
つらい思いを抱えている時、その思いを誰かに話す事ができたらどれだけ楽になるだろうと考えることがあるでしょう。その思いを聴き、共にこころの整理をしていく作業をすることをカウンセリングと言います。
自分の心が何かに捉われている時、人は客観的に判断することが難しくなります。特に鬱状態に陥っている時は、物事を後ろ向きに考えてしまい、絶望感が強くなってしまいます。更に悪い事には、カウンセリングを受けるという事にも考えが及ばなくなってしまうので、周りの人がカウンセリングにつなげてあげる必要があります。
成人の場合は、言葉で話してもらうことでカウンセリングを進めていきますが、小児や発達の障害があり言語表現が十分にできない場合は、遊び(Play)や描画、音楽、動作などを通してカウンセリングを行なっていくこともあります。
カウンセリングで大切なことは、ありのままの自分を、守られた空間でカウンセラーに受け止めてもらい(受容)、その思いに共感してもらうことです。その事で、相談者はカウンセラーに安心感、信頼感を持ち、ラポール(信頼関係)が成立します。カウンセラーは「あなたは、○○と思っていらっしゃるのですね」と受け止め、来談者の話に寄り添っていきます。そのことによって、来談者は自分の思いを確認し、客観的に自分を見つめることができるようになっていきます。この段階では、来談者中心療法を始め、精神分析、行動療法、動作法、ゲシュタルト療法、認知療法等、それぞれの療法によってさまざまな手法が使用されます。そして、自分の進むべき道を決定することができるようになっていきます。ひとりでもやっていけるという自信が出てくると、カウンセリングはほぼ終結を迎えます。
悩みがあることはつらいことではありますが、その事がきっかけで自分を見つめ直し、新たな出発をしていかれる来談者が見せてくれる笑顔。それは私たちカウンセラーの宝物です。