その2 ストレス・マネジメント
臨床心理士 黒岩 淑子
佐賀大学保健管理センター(職員カウンセラー)
佐賀公共職業安定所(心理カウンセラー)
佐賀県スクールカウンセラー
高ストレス時代と言われている昨今。臨床心理士としてヘルスケア関連団体の相談員のための講演やカウンセリング講習も行っている黒岩淑子さんが、みなさんの日常でお役にたつメンタルヘルス周辺のコラムを4回にわたり連載します。
ストレス・マネジメント
現代はストレス社会とも言われていますが、ストレスとは心に負荷がかかっている状態を言います。何がストレスの原因(ストレッサー)になるかは人によって違いますが、生きている限り、まったくストレスのない人生はありえないのですから、それをいかに管理(マネジメント)しながら生きていくかが重要になります。
新しい環境に置かれた場合、それを楽しむ人もいれば、不安でストレスに感じる人もいます。つまり、ストレスはどう受け止めるか(認知の違い)によっても度合いが違ってきます。また、周りにサポートしてくれる人(家族、友人、同僚、上司など)がいるかどうか、また、その人の健康状態によっても違いが生じます。ストレスの強い状態が続くと、ストレス反応が出てきます。ストレス反応には、心的、身体的、行動的反応があり、その出方も人によってさまざまですが、適切な対応がなされないと、心身症、精神的な病などの病気という形で出現してきます。
精神的な病の代表的なものにはうつ病があります。また、心身症としては、円形脱毛症や片頭痛、過敏性大腸症候群や胃潰瘍などの形で現れてきますが、ここまでくると病院での治療が必要となってきます。さらに、再発の可能性も高いので、カウンセリングなどで自分の心の傾向について見直すことも必要となってきます。
ストレスへの対処法(コーピング)としては、リラックス法などの身体的アプローチで、緊張感からくる交感神経優位の状態を緩和する方法があります(詳細は次号で述べます)。
また、自分の考えを伝えるコミュニケーションの力を高めていく、ソーシャル・スキル・トレーニングなどもあります。
病気という形で出てこないように心身の健康を保つためには、適切な趣味や気分転換の方法を持つことも大切なことです。過重労働などでそのような時間も持てていない人は適切なストレス・マネジメントができていないかもしれません。次のストレスチェック表で自分のストレス状態を確かめるなどの自己点検をしていきましょう。