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第二期のSHGに求められること

第7回 第二期のSHGに求められること

特定非営利活動法人ひょうごセルフヘルプ支援センター
代表  中田智恵海(佛教大学 教員)

前回まではSHGが21世紀を目前にして次第に公的・準公的機関から積極的な支援を受けるようになり形態が変わってきたこと、そして、かつての強力な凝集力は低下して自分たちで主体的な活動を続けようとするリーダーが育ち難くなった傾向について述べ、この第二期のSHGの背景には施策による影響があることを記しました。そして後継者の育成にも支援が必要なことを指摘しました。

――主体的に活動する人たちの減少という近年の傾向はSHGに限りません。ボランティア活動が盛んな一方で、市民の典型的な自主活動である子育てサークルなどでも利用するだけの親、つまりフリーライダーが増えてしまい、活動の担い手がいなくなっていることも事実です。一億総フリーライダー化の始まりです。
この流れを変えることはできるでしょうか?私はSHGならきっとできる、と信じています。もう少し、SHGだからこそできることを考えてみましょう。

利便性と接近容易性

SHGは同じような課題を抱えている仲間同士の集まりです。そこには優劣関係や上下関係はありません。

個性あふれる多様な仲間が平場(ひらば)の立ち位置にいて、どの部分からでも切り離すことができるモザイク状の自分色のじゅうたんに乗って、「いざ!」というとき、気軽に移動します。「困った!」というまさにその時に、仲間を呼んで来てもらったり、行ったりします。みんながくっつくと大きなじゅうたんです。

第1回で述べた外的変容を求める時にはこの一枚になって活動するのです。このことは、SHGの利便性であり接近容易性と呼ぶことができましょう。

専門職に相談する場合は決められた時に決められた場所に行かなければいけませんが、同じ仲間ですと時空間の制約もなく相談できる利便性があります。皆さん方の中には、不安の極限の時に昼夜を分かたず仲間に相談して心を鎮めた方も、また、その逆にそういう相談を受けた方もおありでしょう。しかし、この利便性を求められるために疲弊して患者会を離れていったリーダーも少なくありません。これは第4回で述べたとおりです。では、どうすればこうした事態を避けられるでしょうか?

スキルを磨く研修とピアサポート研修

その一つ。疲れたと感じる前に役割交代を図ることです。そのためには沢山の仲間がリーダーの素養を備えるように成長すること、つまり、エンパワメントしたメンバーを増やすことです。

その一つはスキルを磨く研修です。リーダーはSHGの方向性を見極めることやメンバー同士の葛藤や考えの違いなどにも気づいて、合意を得て組織をまとめていかなければなりません。パソコンが苦手、と避けていては世話人同士やメンバーとの連絡や対外的な活動が削がれます。具体的なスキルについては積極的に学習しなければなりません。

もう一つはピアサポート研修です。これは、専門職の真似をするのではなく、自らの体験を生かして他者を援助することの本質に気づくことであり、なるほど、と自分の援助が「腹に落ちる」経験をすることであり、自分に潜在するちからに気づくことです。

したがってピアサポート研修は単に知識を蓄えるものでも、仲間との間に能力の優劣や上下をつけるものでもなく、気づきの研修だということをご理解いただきたいと思います。こうしたスキルの修得や研修の機会を提供することが専門職による支援の一つでしょう。

いよいよ、次回は最終回です。ご意見やご質問など、どうかお寄せくださいますように。

筆者紹介

口唇口蓋形成不全の子どもの親の会の元代表、世話人を経て2000年より、佛教大学 教員、特定非営利活動法人 ひょうごセルフヘルプ支援センター代表
情報誌を発行したり、毎年セルフヘルプセミナーを開催して、さまざまなセルフヘルプグループを市民、行政職者、専門職者などに広報し、生活課題を抱えて孤立する人をセルフヘルプグループにつないだり、リーダー支援のための研修会を開催している。