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活動レポート第4回(2005)

活動レポート第4回(2005)

最近、各地区の交流会において、単に情報を交換する・共有するという内輪の活動から、患者の思いや患者団体の情報を医学教育に取り入れてもらうという外側へ向けた活動が盛んになってきています。各地域で行われた「よりよい医療の推進」への取り組みを紹介します。

第3回ヘルスケア関連団体 関西地区交流会 in 兵庫(1月29日)
医療者を変える「効果的な講演」をめざして

1月29日、第3回ヘルスケア関連団体関西地区交流会が兵庫県尼崎市で開催されました。前回の関西交流会では、「医学教育に患者の声を組み込むこと」をテーマに活発な議論が行われました。そこで今回は、どのようにすれば患者の思いや患者団体が保有する情報・知識を医療者に的確に伝えることができ、患者と医療者のギャップを埋めることができるのか、医療者の態度変容に結びつくようにするには、どのように工夫すればいいのか…など具体的なテーマを検討する勉強会となりました。まず、「小さないのち」の坂下裕子氏が医療の発展に役立つことをめざした、効果的な講演内容について語り、さらに、各団体によって考えた「たたき台」の発表をもとに参加者全員による議論が行われました。関西交流会が取り組んできた「医学教育に患者の声を組み込む」活動は、今後ますます広がりをみせることと思います。関西交流会の中心メンバーである「関西地区口唇口蓋裂児と共に歩む会」の中田智恵海氏は、「このような勉強会などにより、どの団体でも効果的な発表ができる態勢を実現し、医療者からの依頼にいつでも対応できるようにしたい」と訴えました。次回以降、具体的に発表方法を学習することでまとまりました。

参加団体名
インフルエンザ・脳症の会「小さないのち」/ 大阪・ひまわりの会/ かざぐるま「ガン患者と家族の会」/ 関西口唇口蓋裂児と共に歩む会「大空会」/ 再生不良性貧血・患者家族の会「A.A.ネットワーク」/ 腎性尿崩症友の会/ 全国膠原病友の会/ 中枢性尿崩症の会/ 日本ハンチントン病ネットワーク/ はーとスペースひかみ

第2回ヘルスケア関連団体 東北地区交流会 in 仙台(2月5日)
ネットワークづくりに向けて、具体的な取り組み始まる

第2回ヘルスケア関連団体東北地区交流会が開催されました。今回初めて参加した団体も加わって、まず第1回目の交流会で提案された共通課題を確認し、具体的にどのような活動に取り組んでいくかをテーマに、活発な議論が交わされました。

前回の交流会では東北地方特有の閉鎖性が取り上げられましたが、今回は、県や地方自治体によって患者や障がい者支援に対する「温度差」が大きいとの指摘があり、各県各団体で要望や現在の状況を強くアピールし、温度差をなくしていこうと意見が一致しました。このような地域特有の問題が浮かび上がることが地域交流会の大きな特徴であり、その開催意義であるといえるでしょう。

また、小学校や医療系大学などの教育現場で当事者や家族による「出前講座」を行い、疾病や障がいと共生する当事者への理解を深めるとともに、子どもや学生の教育に貢献しようとの提案もなされました。さらに前回、制作が決定した東北地区交流会ホームページについても、具体的な取り組みが始まり、東北地区のネットワークづくりは大きく前進したようです。

参加団体名
あけぼの会福島支部/ あすなろ会(若年性リウマチ親の会)/ がんを考える「ひいらぎの会」/ CILたすけっと/ けいはいの会/ 全国膠原病友の会/ 全国肢体不自由児者父母の会連合会/ (財)仙台市身体障害者福祉協会/ 仙台ポリオの会/ タートルの会(中途視覚障害者の復職を考える会)/ (社)日本オストミー協会/ 日本コンチネンス協会/ (社)日本リウマチの会/ パンダハウスを育てる会/ ピンクのリボン/ 福島県腎臓病患者連絡協議会/ 宮城県喉頭摘出者福祉協会 立声会/ 宮城県腎臓病患者連絡協議会/ 宮城県脊髄損傷者連合会/ 東北福祉大学

第1回ヘルスケア関連団体 九州地区交流会 in 佐賀(2月19日)
団体同士のつながりの場に

佐賀県難病相談・支援センターに15団体、19名が集まり九州地区初の交流会が開催されました。全国に支部を持つ団体から一人で活動している方まで規模や疾病・障がいもさまざま。患者、家族、医療関係者と立場も違う中、自己紹介を通じて現状や問題点を発表しました。その後、グループディスカッションへ。4つの班に分けたことでお互いの距離が縮まり、各班ともにかなり白熱した話し合いとなりました。まとめでは、会員の増やし方、運営資金の調達、マスコミの利用方法、就労支援など多彩な分野で具体的なノウハウやアイデアが発表されました。新潟中越地震をきっかけに災害時の対策にも注目。医薬品の確保や電子カルテの普及などが話題に上がりました。また、行政への要望申請では、1団体ではなく数団体がまとまり、共通する項目は「ともに取り組むことで有利性が生まれる」などの意見が出されました。今回の交流会を通じて多彩な情報交換ができたこと、なにより全く知らなかった団体同士がつながりを持てたことが有意義だったとの感想が多く、回を重ねることでさらにパワーアップしていきたいと結びました。

楽患ねっと シンポジウム in 東京(3月6日)
当事者と医療者が一体となったよりよい医療を探る
「患者の目から見た医療を知る~患者から学ぶこと~」

NPO法人「楽患ねっと」主催による「患者の目から見た医療を知る~患者に学ぶ」シンポジウムが、東京・代々木の国立オリンピック記念青少年総合センターで開催されました。

楽患ねっとは、患者さんとその周囲をつなぎ応援する団体で、小学生や中学生、一般に向けて「いのちの授業」や、医療系の学生を対象とした「患者に学ぶ授業」などを行う活動に取り組んでいます。今回のシンポジウムでは「患者の目から見た医療を知る」をテーマに、授業の語り手である当事者と、聞き手の両方が集い、患者の声を聞くことの意味、患者が語ることから得られる可能性などを探りました。

まず、「病気の子どもを持つ親の会」の廣澤直美氏が「いのちの授業」を実演。続いて、坂下裕子氏(病児遺族わかちあいの「小さないのち」代表)、内田スミスあゆみ氏、多和田奈津子氏、開原成允氏(国際医療福祉大学大学院長)、松月みどり氏(日本板橋病院 看護師長)が参加して「なぜ今、患者の声を聞く事が求められるのか」をテーマにパネルディスカッションが行われました。語り手と聞き手、患者・家族と医療者、それぞれの立場からの「よりよい医療」に対する思いがあふれる、熱のこもった討論が繰り広げられました。

なお、今回のパネリストでもある開原成允氏の主導によって、国際医療福祉大学院乃木坂スクールでは、患者の声を医療者に伝える講座も開講され、ヘルスケア関連団体のメンバーが講師として参加しています。