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活動レポート第6回(2005)

活動レポート第6回(2005)

東北、関西、九州地区は、それぞれ地区学習会として本格的な活動を始めました。互いの存在を知り横のつながりを作ることから、問題を共有し解決方法を探り、地域社会へ積極的に働きかけていく段階を迎えたようです。また、医学教育と当事者のかかわりを探る動きも活発になってきました。今後の発展に大いに期待したい、そんな各地の話題をご紹介しましょう。

第37回日本医学教育学会 in 東京(7月29日)
医学教育学会に当事者が初参加 画期的なワークショップ、開催される

東京大学本郷キャンパスにおいて開催された第37回日本医学教育学会の中のいくつかのプログラムの一つに、「医学教育への患者の参加」をテーマとしたワークショップが行われました。このワークショップでは北村聖氏(東京大学医学教育国際協力研究センター教授)をコーディネーターに、まず中田智恵海氏(佛教大学社会福祉学部助教授、関西地区口唇口蓋裂児と共に歩む会・世話人)が、当事者が医学教育に参加する原点」をテーマに基調講演を行いました。その後、「患者が医学教育に参加する意義」「患者が医学教育に参加して何を教えるのか?」「教育方略・講義、講演、チュートリアル、実習、SP(模擬患者)など」「教育評価は?」「患者が医学教育に参加することを阻むものは?」「成功事例」「これからの具体的行動は?」などのテーマについてグループ討論会が行われ、当事者が医学教育に参加することの利点や課題が話し合われました。

今まで医学教育学会ではこういったテーマでの話し合いは少なく、特に当事者を交えたワークショップは初めての試みでした。当事者がつらかった経験や医師の対応を学生に話すという初歩的な「医学教育への参加」から、より教育効果の上がる内容・方略にまで議論が深まり、非常に意義のあるワークショップとなりました。医学教育学会において当事者が参加して討論が行われたことは、医学教育や医療従事者の認識も変化してきたことの現れと言えそうです。患者主体の医療の実現へ向けて、今後も医学教育への当事者の積極的な働きかけが期待されます。

第2回ヘルスケア関連団体ワークショップ 九州地区学習会 in 熊本(8月21日)
医療関係者と患者のよりよい関係を議論

第2回九州地区学習会が11団体18名の参加のもと、熊本県難病相談・支援センターで開催されました。「医療関係者と患者・家族のより良い関係を考えよう」が今回のテーマで、双方のコミュニケーションで歯車が食い違うのはなぜかということについて3グループに分かれて議論されました。専門医の養成、告知の方法や薬の情報、医療過誤やセカンドオピニオン、人間関係のあり方、難病センターや患者会の役割など、さまざまな項目で医療側、患者側の現状や事例が出され、解決方法や意見が出されました。患者側と医療関係者に分かれてディベートを行うグループもあり、それぞれの言い分で話し合いが行われました。各グループのまとめでは、患者も医療者を育てる、患者自身も学ぶ姿勢を持つ、医師への丸投げはダメ、立場を超えた人間関係を築く、信頼関係を持つ、お互いの思いをきちんと伝えないと変わらないなどのキーワードが発表されました。チーム医療のあり方について参加者全員が再認識する学習会となりました。

第3回・第4回東北ヘルスケアネット in 仙台 (7月2日・9月18日) (ヘルスケア関連団体東北地区学習会)
活動の発展と広がりに向けて、東北ヘルスケアネットに改称

7月2日東北地区学習会が開催されました。疾病理解・障がい理解促進の活動の試みとして、会員による大学での講義録画を鑑賞したり、ホームページの活用を含めた今後の取り組みが話し合われました。その結果、互いの横のつながりを大切にした組織づくりをめざし、名称も「東北ヘルスケアネット」としてなおいっそうの活動に取り組むことが確認されました。

続いて9月18日に開かれた学習会では、ホームページの具体的な作成に向けての話し合いや、健康問題、地域生活・日常生活に関する共通課題の検討などが行われました。特に8月に発生した宮城県沖地震の経験から、地震等災害時の対応に関する共通課題の重要性についても活発な討論が交わされました。

さらに東北地区学習会を重ね、お互いの認識やネットワークも深まってきたことから、今後は東北各地(秋田県・岩手県・山形県)への発信、医療専門職との連携など、ネットワークの広がりをめざそうという方向性を確認しました。また、会則の原案づくりや組織体制の整備に取り組み、東北ヘルスケアネットとしての活動を発展させていくことについても意見が一致しました。

第6回ヘルスケア関連団体ネットワーク 関西学習会 in 大阪(9月2日)
より効果的な講演にするために全員で検討

“医学教育に患者団体の声を組み込む”をテーマに10団体14名が参加し開催されました。前回、前々回の学習会で検討を重ねて決定した4つの講演テーマのなかから、今回は「出生前診断(慢性疾患・遺伝病疾患も含む)」をピックアップ。日本ハンチントン病ネットワーク代表の中井伴子氏が「遺伝病の周辺で」と題して約45分の講演を行いました。病気の概要、遺伝子診断、ネットワーク誕生の経緯、相談や問い合わせなどをプレゼンテーションソフトを使って発表。その後、講演内容について討議されました。

項目の追加やもっと具体的にする部分、データの信憑性を高めるなどの内容のチェックから、言葉の選び方、話し方のメリハリ、ラストの盛り上げ方など、実にさまざまな意見が出され、それぞれの団体の講演に生かせる有意義な討論となりました。後半は、他の地域の学習会の活動内容や運営方法などをファイザー株式会社の奥澤徹・喜島智香子両氏からヒアリング。参加者を増やす方法や会則の必要性、学習会同士の交流など、より充実した学習会に育てるためのディスカッションが行われました。