活動レポート第11回(2006)
ヘルスケア関連団体ネットワーキングの会、第6番目の地域学習会として、沖縄学習会が、また7番目として、北陸学習会が発足しました。既存の地域学習会でも、特色ある活動が活発に繰り広げられており、関東学習会では「受診ノートの作成」という取り組みが始まり、東北学習会では、団体のリーダーとしての資質を高めるために「進行役スキルアップ研修会」が行われました。本年1月から4月までに行われた、各地の地域学習会の模様をレポートしてお届けします。なお、北陸学習会は次号でご報告いたします。
第4回 関東学習会 in 東京(1月14日)
ワークショップでの討議を引き継ぎ、「受診ノート」作成に取り組むことを決定
東京新宿のファイザー本社で、1月14日に関東学習会が開かれました。今回は、初参加を含めて参加者が多く、また、中部・東海地域学習会立ち上げ準備として愛知県と三重県の難病連のメンバーの参加、関東地区のファイザーOB3名もサポートとして参加するなど、バラエティに富んだ集まりとなりました。
第6回ヘルスケア関連団体ワークショップでの各グループ発表を振り返り、関東学習会として取り組む事項を話し合った結果、受診ノートや問診票について取り組みたいという意見が多く出されました。受診ノート作りを進めている団体からは「具体的な例が知りたい」との意見が、他の団体からは「医師と患者の共通言語が公開されると助かる」、「作り方のプロセスや活用方法は参考にしたい」などの意見が出ました。
受診ノートをすでに作成している「あすなろ会」と「あけぼの会」には、「内容や活用状況や作成の経緯を知りたい、学びたい」という意見が多数寄せられ、また、「共通項を見いだして取り組んでいくのが、このネットワーキングの会での取り組みに適しているのではないか」という意見、また受診ノートは「医師側と協力して作成することも重要なポイント。学習会にも医療者にぜひ参加してほしい」という意見が出ました。
次回は、あけぼの会とあすなろ会に受診ノートを紹介してもらう他、各団体でも資料も集めて閲覧できるようにすること、ファイザーの協力により米国の問診票の情報を入手すること、学習会に参加してくれる医療関係者をそれぞれの会で検討することなどが決まりました。昨年、誕生した関東学習会も会を重ね、ワークショップを経て活動の方向性が明確になり、確かな歩みを始めたと言えそうです。
第5回関東学習会 in 東京(3月11日)
ヘルスケア関連団体共通の受診ノート作成に向けて、事例発表とグループワークを実施
第4回の学習会を受け、第5回は「受診ノートについての紹介」と「受診ノートについてのグループワーク」が行われました。まず「あけぼの会」富樫さんと「あすなろ会」の石垣さんがそれぞれの団体の受診ノートを紹介し、次に2つのグループに分かれての討論が行われました。片方のグループからは、多くの団体に共通する受診ノートの項目や仕様が提案され、もう一つのグループからは、実際に「たたき台」を作ろうという提案がありました。そこで次回のステップとして、提案された項目をもとに参加者の一人が「たたき台」を作り、他のメンバーはそれを見て意見を持ち寄ることになりました。
今回の学習会では、群馬大学医学部の酒巻教授をはじめ医療関係者の参加があり、医療者の立場からの発言やアドバイスもいただき、論議が深まったと参加者から感謝の言葉が寄せられました。
紹介された受診ノート
あけぼの会「私のカルテ」
乳がん治療では記録の必要性が高いことから、「あけぼの会」では顧問医の指導と、製薬会社の協力のもとに受診ノートの作成に取り組んできました。工夫した点は、女性用のバッグに入る大きさ、明るいタイトルや表紙、用語解説なども盛り込んだ点などで、セカンドオピニオンや再発時の治療を考えるときに役立つ、副作用や自覚症状がわかる、さらに乳がん以外の健康チェックもできると会員から好評です。
あすなろ会「こどもリウマチノート」
若年性関節リウマチの経過や治療の様子を記録するために、鹿児島大学医学部附属病院小児科の武井医師が製薬会社の協力を得て作成したものです。治療や検査結果を知ることで両親や本人が意欲的に治療に参加すること、学校など周囲に病気への理解を深めてもらうこと、家庭や学校での症状や問題点を把握することなどを目的としています。症状を記録する欄には、その日の体調を子どもの顔の表情で表現するなど独自の工夫がしてあります。
第1回沖縄学習会 in 沖縄(2月7日)
地域・団体間の情報交換の場、さらに全国の団体との交流への第一歩として
全国で6番目、沖縄学習会が発足しました。NPO法人アンビシャスの照喜名通さんが呼びかけた10団体が参加し、15人での開催となりました。第1回ということもあり、まず事務局としてファイザー(株)の奥澤、喜島両氏がヘルスケア関連団体ネットワーキングの会の主旨や経過、さらにヘルスケア関連団体が一堂に会することを目的に年1回開催されるワークショップや『まねきねこ』について説明。学習会を通して沖縄の情報を集め全国に発信していきたいと述べました。「てぃんさぐの会」の照喜名重寿さんはワークショップの参加経験者として、「思いだけの計画から使命を持った組織づくり、さらに資金の集め方など具体的な方法論を学んだ」と紹介しました。その後早速、「医療従事者とのつながり方はどうしていけばいいのか」という質問が上がり、「いきなり顧問になってというのはだめ」、「医療講演会などオープンな場での依頼から始める」などの意見、「てぃんさぐの会」冨名腰善裕さんは医師の立場として「よく知った患者なら対応できるが、知らない患者には準備がいる。担当医やさらにその知り合いの医師を紹介してもらうのもいいと思う」などの意見が交わされました。また学習会では「人の話を聞き、自分の意見をまとめて、短い時間で話すこと」が、限られた時間で有効な成果をあげることを全員で確認。建設的に一歩一歩、育てていこうと結びました。会の模様はスカイパーフェクトTV「医療福祉チャンネル」でも放映されました。
参加団体
NPO法人アンビシャス/ 沖縄クローン病/ 潰瘍性大腸炎友の会(沖縄IBD)/ 沖縄訪問教育親の会/ 人工呼吸器を付けた子の親の会(バクバクの会)/ 全国膠原病友の会沖縄支部/ 全国パーキンソン病友の会 沖縄県支部/ チーム沖縄 (障害者自立支援を考える会)/ てぃんさぐの会/ もやもや病の患者と家族の会(もやの会)沖縄ブロック/ J-FOP(参加表明はあったが当日は不参加)
第10回東北学習会 in 仙台(4月14日)
「進行役スキルアップ研修会」を行い、学んだこと生かしてグループワークを展開
VHO東北ヘルスケアネット主催の「第10回東北学習会」が東北福祉大学感性福祉研究所で行われました。
最初にファイザー株式会社の梶田修さんが講師として、「進行役スキルアップ研修会」を実施し、演習を交えながら、会議のチェックポイントや効果的な進め方、発言の促し方、ワークショップの進め方、グループワークの方法やまとめ方、進行役の留意点などを学びました。その後、「患者力~医療関係者とのパートナーシップ」と題して、医療関係者とのコミュニケーションをよくするためにどうするべきか、具体的なアクションプランを話し合うグループワークが行われました。
グループ発表では、「患者会と医療関係者との交流会を開催」、「医療関係者を信頼し、家族と共に納得できるまで説明を聞く」、「医療系学生への講義、患者会や患者のピアサポート、より大きなネットワーク作りが必要」、「出前講座を行う」、「東北地域特有の高いハードルを打開していく努力も必要」などの活動が提案されました。
梶田さんからは「短い時間の中で素晴らしいグループワークや発表が行われ感心した。会議の目的は決めることではなく、アクションを起こして成果をあげることなので、今後の活動に役立ててほしい」との講評がありました。
参加者からも「午前中の学習がよく生かされたグループワークとなった。今後も生かしていきたい」「具体的な活動に結びつけてきたい」、「東北地域ならではの行動を起こしたい」という感想が聞かれました。最後に目の不自由な参加者から「声を聞くだけでも素晴らしい講義で、参加したかいがあった」と講師への感謝が述べられるなど、とてもなごやかな雰囲気の中で充実した学習会となりました。