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活動レポート第15回(2008)

活動レポート第15回(2008)

春から夏にかけて、6つの地域学習会が行われました。

今回は、「患者が作る医学の教科書」プロジェクトで使用するフォーマットにそって活動報告を行う、限定したテーマから自分で選んで話し合いに参加する、じっくり話し合うためのフリートークの時間を設けたり、宿泊研修をするなど、より議論を深めるための工夫が各地域で見られました。

第10回 関東学習会 in 東京(5月11日)
「受診ノート」「患者が作る医学の教科書」について具体的な討議が行われる

5月11日東京のファイザー本社で、関東学習会が行われました。

まず「中枢性尿崩症(CDI)の会」の大木里美さん、「NPO法人東京難病団体連絡協議会」の杉田清子さんが、患者が直面している問題や医療者に訴えたいこと、今までの団体の活動などを「患者が作る医学の教科書」で使用するフォーマットにそって、発表しました。これは、今回の学習会から始まった取り組みで、患者の視点や患者中心の体験的知識を整理することを目的としています。

次に、「受診ノート」の進捗状況について報告があり、制作を担当している「NPO法人地域診療情報連携協議会」の瀧澤清美氏がサイト画面を提示しながら、詳しい説明を行いました。「受診ノート」とは、医師との円滑なコミュニケーションをするために、患者会が作成した問診票などのサンプルで、インターネット上で項目リストを公開し、各々の団体が必要な項目を選んで活用するという形で制作しています。瀧澤氏は「半年ほど試用期間を設け、使いやすく改善していきたい。パソコンやインターネットに慣れていない団体もあるので、最初の段階では印刷して使えるものとし、将来的にはもっとインターネットの特性を生かしたものを検討していきたい」と述べました。

「患者が作る医学の教科書」については、各団体に原稿執筆を依頼し、今年中に20団体程度の原稿をまとめ、書籍としての発刊をめざすとのことでした。

学習会の最後には、団体の新しい取り組みや、運営のノウハウについて、自由に語り合う情報交換の時間が設けられスタートしたばかりの団体準備会に、他の団体から「一緒にがんばっていきましょう」とエールが送られる場面もありました。

参加団体
あすなろ会/下垂体患者の会/再生つばさの会/天使のつばさ/NPO法人線維筋痛症友の会/ 竹の子の会/中枢性尿崩症の会/CMT友の会〈準備会〉/NPO法人東京難病団体連絡協議会/ポリオの会/ つくしの会(軟骨無形成症患者・家族の会)/ NPO法人日本IDDMネットワーク/(社)日本オストミー協会/日本コンチネンス協会/NPO法人がん患者団体支援機構/全国慢性頭痛の友の会/(社)全国脊髄損傷者連合会/NPO法人地域診療情報連携協議会/腎性尿崩症友の会

第5回 沖縄学習会 in 沖縄(5月12日)
どんな人材が、なぜ必要、どう確保する?
ヘルスケア関連団体強化の方法を「人材」に絞って検討

今回のテーマは「伝えたい人は誰?~会(組織)の運営に必要な人材とは~」。2組に分かれてグループワークを行い、Aグループは一般の会員、Bグループは会のリーダーと意図的に分けての試みです。(1)必要な人材・(2)なぜ必要か・(3)どのように確保するかの3項目にそれぞれが意見を書き、討論に入りました。

Aグループでは(1)リーダー、(2)会員の意見をまとめる・全体を見て他の人を動かしていくために、(3)他団体との勉強会に参加してスキルアップを図る、また、(1)ボランティア、(2)会に参加したいが一人では困難なため患者のヘルプとして必要、(3)専門職、看護学生、一般と目的毎に対象者を絞り募集、育成するなどが挙げられました。

Bグループは(1)パソコン上級者、役員・運営委員、ボランティアなどが挙がったことから「会員に多種多様な職種の人がいると会に広がりが生まれる。そのため当事者以外や、リハビリやケアができる専門職を会員として確保する方策はないか」などが話し合われました。

「今回、(1)(2)(3)と筋道を立てることで所属する会の強み・弱みが見えた」「人材確保では会のなかにどんな人材がいるのかもっと知り育成していくことも大切だと学んだ」「(2)のなぜ必要なのかをきちっと把握しておくことが重要だと感じた」などの感想や、「他の会の活動に参加してみたい」などの発展的な感想が出されました。

第5回 北陸学習会 in 富山(6月21・22日)
ヘルスケア関連団体の役割をテーマにじっくり討議
泊まりがけの合宿学習会を開催

6月21日・22日、富山市の「かんぽの宿富山」で北陸学習会が開催されました。今回は「ヘルスケア関連団体の役割についての明確な意識づけ」「団体のリーダーとして議事進行などの資質の向上」「交流をはかり、協力、連携を深める」ことを目的に、地域学習会では初めての合宿スタイルでの開催となりました。

北陸学習会は富山県を中心に活動していますが、今回は福井県からの参加があり、また合宿学習会を控えた東海学習会のメンバーも、三重県から見学を兼ねて参加しました。

まず「ヘルスケア関連団体ネットワーキングの会(VHO-net)」監事で、埼玉県立大学教授の高畑隆さんが「ヘルスケア関連団体の役割」をテーマに基調講演を行いました。続いて参加者が自己紹介を行い、リーダーとしての思いや、団体運営についての悩みを語り合いました。その後は、2グループに分かれ、「ヘルスケア関連団体の役割」について、2日間をかけてのグループ討議が行われました。

グループ発表では、「仲間づくりを進め、地域活動を基本に、全国、世界に情報発信していこう」「リーダーは、会員に信頼される団体の顔をめざそう」「会員が確かな情報を見抜き、自己管理できるように団体の支援が必要」などの意見が述べられました。また「リーダーと会員、支援者と当事者は、サポートする上下の関係ではなく、同じ立場のパートナーになるべき」「ケアサポーターからケアパートナーへ」と、両グループから同じ趣旨の意見も発表されました。

今回の学習会では、事前課題の設定や、進行や記録、発表などの役割分担、グループ討議の進行研修の実施など、充実した学習会をするためのさまざまな工夫がありました。

参加団体
NPO法人難病ネットワークとやま/ (社)認知症の人と家族の会富山県支部/富山IBD/日本ALS協会富山支部/全国脊髄小脳変性症友の会(SCD友の会)/福井IBD

第2回 東海学習会 in 愛知(6月28・29日)
10の問題提起から関心のある項目を討議 情報交換、団体間の連携強化に成果

知多郡東浦町の「あいち健康プラザ」にて、18団体24名の参加で1泊2日東海学習会が開催されました。テーマは「患者・家族の声をどう社会に発信するか」。まず、日本難病・疾病団体協議会副代表の野原正平氏が「患者力を考える 体験的患者論」と題し、患者会活動に関わるご本人の体験をもとに講演。そのなかで10の問題提起を行いました。その後3グループに分かれてのワークショップでは、参加者一人ひとりがどの問題に一番関心を持ったかを理由も含めて出し合い、活発な討議が始まりました。そんななかで各患者会の疾患の状況や運営の悩み、解決への提案やアドバイスなどの情報交換も行われ、翌日グループ発表となりました。どのグループも関心をもったのは「励まし合い」「人材・後継者づくり」でした。会場で集めたアンケートには、「医療や地域性、事情があるなかでヘルスケア関連団体の工夫の様子がわかった」「会の代表者が横につながり、皆で話し合って解決の方向へ向かえるのではないか。結束は大きな財産だ」「難病連事務局の立場からみると患者会の活動が低迷してきているように思う。ヘルスケア関連団体の活性化や組織化強化など基本的なあり方を議論することが必要ではないか」などの感想が書かれていました。

■10の問題提起
1. 病気を科学的に知る
2. 生きる力・励まし合い
3. 知識・知識情報活用力
4. 影響を与える、提言する
5. 実績・社会的認知度・信頼度
6. 患者会の人材
7. 財政力量
8. 連携・提携
9. 協働・多業種・セクターとの提携
10. 結束力(要求共有の度合い)、数の力、行動力

第11回 関東学習会 in 東京(6月29日)
フリートークの時間も設けて活発に意見交換

6月29日に、東京ファイザー本社で、第11回関東学習会が開催されました。

まず第10回同様に、6月22日に設立されたばかりの「CMT友の会」の大竹弘哲さんと栗原久雄さんが、「患者が作る医学の教科書」プロジェクトチームの活動とリンクさせて、患者が抱える問題、友の会設立の経緯などを発表しました。

CMT(シャルコー・マリー・トゥース病‥遺伝性運動感覚性ニューロパチー)とは、末梢神経が損傷され、主に手・足の機能の一部が不自由になる病気です。多くの人は10代から症状が現れ、ゆっくりとした進行性であること、現在は有効な治療法がないこと、また患者数が少ないことなどから、一人で悩みや不安をかかえている患者が多いのが現状です。今回設立されたCMT友の会は、インターネットを通じて知り合った患者同士がオフ会などで交流するうちに、患者団体の必要性を認識し立ち上げたものです。今後、患者が前向きに生活できるような活動を行いたいとのことでした。発表後、よく似た病気とされるCIDP(慢性炎症性脱髄性ポリニューロパチー)の患者団体から、連携して活動していきたいという呼びかけもありました。

次に、ヘルスケア関連団体のリーダーとしてお互いに相談しあう、ピアカウンセリングの場が必要ではないかということから、2つのグループに分かれてフリートークが行われ、最後に話し合った内容を発表しました。話題となったのは「厚労省への会報送付など行政への働きかけ」「啓蒙活動の必要性」「法人化のメリット・デメリット」「ピアカウンセリングの課題」「役員の世代交代」「若いインターネット世代への働きかけ」「当事者の高齢化に向けての活動」「会場探しのノウハウ」などで、どちらのグループも活発な意見交換が行われました。

参加団体
あすなろ会/板橋サンソ友の会/CMT友の会/天使のつばさ/社会福祉法人小茂根の郷/ NPO法人線維筋痛症友の会/(社)全国脊髄損傷者連合会/ 全国慢性頭痛友の会/ ポリオの会/中枢性尿崩症の会/NPO法人日本IDDMネットワーク/(社)日本オストミー協会/  竹の子の会/やどかりの里/全国CIDPサポートグループ

第8回 九州学習会 in 佐賀(7月26日)
患者の悩みや不安にどう対応するか
「相談員の研修プログラムの開発」を検討

佐賀、熊本、福岡、長崎の4県から18団体28名が参加し「佐賀県難病相談・支援センター」で開催されました。今回のテーマは「患者団体や難病相談・支援センターに寄せられる相談等への対応について」。参加者の大半が患者からの相談を受ける立場にあることから、訴えてくる不満をピックアップし、対応の仕方、悩みやアドバイスの手法、相談員自身のセルフケアなどについて4グループに分かれて討論しました。「患者の悩みを解決できることは少ない。話を聞きアドバイスをし、同じ病気の人がいることでの励ましを」「本当にこの受け答えで良かったのかいつも迷いが残る」「それこそが相談員の資質では?迷いがあることは大切。決めつけてしまうことは危ない」「患者が自己決定できるようなアドバイスを」「原点に帰り、常に今、病気になっている人の気持ちを考える」など、さまざまな意見が飛び交いました。そして「”相談員の研修プログラムの開発“を九州学習会で取り組んでみてはどうだろう」という意見が出ました。センター、患者団体の相談員が共有できるプログラムは全国でも試みがなく、これから前向きに検討していくことになりました。最後に前回からの試みである「患者学啓発劇」を披露するグループもありました。大爆笑のなかに当事者ならではの切実な思いや深刻な問題が込められ、益々磨きがかかった啓発劇となりました。