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活動レポート第19回(2009)

活動レポート第19回(2009)

地域でのネットワークを広げ、情報やノウハウを共有し、それぞれの活動を充実させていこうと各地で積極的な取り組みが行われています。そこで今号では、2009年3月から5月にかけて開催された北陸・九州・関東・沖縄の地域学習会の様子をレポートします。

第14回 関西学習会 in 大阪(6月13・14日)
研修、寸劇作成、ロールプレイ、活発な意見交換… 伝えることのスキルをじっくりと学んだ宿泊研修

初の1泊2日で行われた今回の関西学習会。1日目のメインプログラムは、「ファイザー社友会」の梶田修さんを講師に迎えての研修でした。1時間目は「コミュニケーションの難しさ」。人間は環境、価値観などでそれぞれが違う「枠組み」を持つ。そのために、ミス・コミュニケーションは相手だけが悪いのではなく、自分の方が悪いと認識すれば改善につながることを学びました。2時間目は「アサーション」。相手を尊重しつつ自分の意見を率直に述べ、お互いが納得できる方向性を探っていく手法です。自分の気持ちや信念を正直に、その場でふさわしい方法で表現できることや、「言いたいが、言えない」から、「言えるが、言わない」ことのできる自分に変えていくことの大切さを学びました。3時間目は「プレゼンテーション」。プレゼンテーションの目的は上手に話すことではなく「理解してもらう」「感じてもらう」「行動を起こしてもらう」こと。そのためにも、段取り八分、充分に準備をして臨もうと結びました。

また、寸劇の作成や発表、交流会、2日目にはロールプレイ、活発な意見交換などもあり、ヘルスケア関連団体のリーダーにとって大切である、相手に伝え相手を理解するための実践的なスキルを、さまざまなプログラムを通して学んだ研修となりました。「時間にゆとりがあり、充実した気持ちで取り組めた」などの感想があげられ、参加者たちの晴れやかな表情が印象的でした。

参加団体
NPO法人日本マルファン協会/ 大阪ひまわりの会/関西ほっとサロン/ 全国膠原病友の会 滋賀支部/ しらさぎあいあい会/ 腎性尿崩症友の会/小さないのち/ いこいの場ひょうご:ドリームズファクトリー / 日本ハンチントン病ネットワーク(JHDN)/ ひょうごセルフヘルプ支援センター

第14回 東北学習会 in 福島(6月21日)
「医療を考える」をテーマに初めて福島県で学習会を開催

6月21日、福島市のコラッセ福島で第14回東北学習会が開催されました。

まず「乳腺患者会プリティふらわあ」の松原玲子さんが、仙台市総合防災訓練について参加報告を行いました。東北学習会は以前から要援護者の災害対策に積極的に取り組んできましたが、松原さんは「初めて大規模な訓練に参加して、実際の避難生活や地震の揺れを経験することの大切さを知った」と語りました。

次に、医療者からの話題提供として、福島県立医科大学附属病院・臨床腫瘍センターMSW(メディカル・ソーシャル・ワーカー)斎藤彩子さんがMSWの役割や臨床腫瘍センターの紹介、福島県の医療の現状などについて発表を行いました。その後、4つのグループに分かれて「医療を考える~知る~」と題してグループディスカッションが行われました。グループ発表では「自らの疾病や状況を知り、それを発表していく努力が必要」「『知ることが病に向かう力なり』だと思う」「正しい情報を知り、判断する道筋として、当事者の声を社会資源として生かしたい」「情報を得るテクニックだけではなく、感性で知ることも重要ではないか」などの意見が述べられました。

最後に、運営委員の阿部一彦さんが、「東北学習会では、障がい者や患者の生活という視点から災害対策などに取り組んできたが、今後はもっと広く医療全体を考える場にしていきたい。また、さらに東北全体にネットワークを広げていきたい」と述べ、福島での学習会を締めくくりました。

参加団体
ピンクのリボン/仙台ポリオの会/ NPO法人タートル/ 宮城コンチネンス勉強会/ 全国パーキンソン病友の会 宮城県支部/ (社)日本リウマチ友の会 宮城県支部/ 仙台市障害者スポーツ協会/ 福島県腎臓病協議会/ 乳腺患者会プリティふらわあ/ 仙台市身体障害者福祉協会/ 東北福祉大学感性福祉研究所/ NPO法人仙台市精神福祉団体連絡協議会/ NPO法人地域生活オウエン団せんだい/ 全国膠原病友の会 福島県支部

第10回 九州学習会 in 熊本(6月27日)
社会保険労務士を講師に招き障害年金などの社会保障制度を学ぶ

熊本市国際交流会館にて第10回九州学習会が開催されました。今回は、社会保険労務士の國本和壽子さんを講師に招き、医療保険制度、年金、疾病や障がいに関わる社会保障制度について講習を受けました。

公的年金の仕組みや種類、受給方法や受給額などの基礎知識を教えていただく中で、ヘルスケア関連団体の参加者にとって関心の高い障害年金や傷病手当金について、より詳しく説明を受けました。障害年金は、病名ではなくどういう症状が出て日常生活に制約を来しているかが支給の判断目安になること、長期間に渡る疾患では「初診日」が重要なので初診証明書などを必ず残しておくことといった説明に、参加者は熱心にメモを取っていました。

質疑応答では「寛解していたが再発し入院、退職した場合に再受給申請はできるか」「障害年金を受給していたが正社員として採用された場合、受給は続けられるか」「20歳前発症で障害年金を受給していたが、突然、支給停止の通知ハガキが来た」など、難病当事者や難病相談・支援センターの相談員などから、現状に密着した切実な質問が多く寄せられました。 國本先生は「年金の仕組みはとても複雑で、障害年金などは手続き開始から受給まで時間もかかります。手続きが面倒とあきらめないで、行政の担当窓口や社会保険労務士に相談するなど、納得のいく受給に向けて進んでください」と結びました。

参加団体
佐賀大学保健管理センター/ 八代難病友会/熊本IBD/佐賀IBD/ 熊本県難病団体連絡協議会/ 血液疾患患者と家族 晴れの会/ NPO法人全国精神障害者ネットワーク協議会/ 熊本県パーキンソン友の会/上益城友の会/ (社)日本リウマチ友の会 熊本県支部/ NPO法人ともしび/ふれあいワーク/ 熊本SCD・MSA友の会/ 佐賀県難病相談・支援センター/ 大分県難病相談・支援センター/ 長崎県難病相談・支援センター/ 佐賀県難病支援ネットワーク/ 全国パーキンソン病友の会/ 全国膠原病友の会 佐賀県支部/ 線維筋痛症友の会/佐賀大学医学部/ てんかん協会 熊本県支部

第4回 東海学習会 in 名古屋(6月27・28日)
「団体の協働のあり方」をテーマに合宿学習会を開催

6月27日・28日の2日間、名古屋市のウイルあいち(愛知県女性総合センター)において、第4回東海学習会が行われました。

今回のテーマは「団体の協働のあり方」。まず、問題提起としてNPO法人 静岡県難病団体連絡協議会の野原正平さんが「患者会の協働のあり方について考える」と題した発表を行い、次に3つのグループに分かれてのディスカッションが行われました。

グループ発表では、「患者の多様なニーズに応えるために、専門家との連携が必要」「患者団体同士の連携は、それぞれの会の成熟度に配慮したい」「若い世代から難病への理解を深め、社会に広めよう」「行政に対しては、資料・データや専門家の意見を添えるなど、熱意と努力が伝わるように訴えよう」などの意見が出されました。また、難病相談会が23回を迎えた静岡県富士市の事例が紹介され、20年の積み重ねによって専門医や行政とも連携が実現し、地域社会を動かす原動力になっているという心強い報告に関心が集まりました。

最後にまとめとして、東海学習会の運営委員でもある野原さんが「難病患者は人数が少なく協働が難しい。患者団体同士が連携して『効果的な声のあげ方』を学んでいきたい」と述べました。 今回は2日間にわたり時間をかけて討論が行われ、また、交流会などの機会に社会制度や東海地域の現状など身近な問題について情報交換も行われるなど、実りの多い学習会となりました。

参加団体
日本ALS協会 愛知県支部 / NPO法人愛知県難病団体連合会/ ポリオ友の会東海/ プラダーウイリー症候群竹の子の会/ CAPS患者家族の会/ CINCA症候群/稀少難病の会準備会/ 東海脊髄小脳変性症友の会/ 後縦靱帯骨化症友の会/ ベーチェット病友の会 静岡県支部/ NPO法人静岡県難病団体連絡協議会/ 全国膠原病友の会 三重県支部/ SCD(脊髄小脳変性症) 三重の会/ 三重もやの会/三重心臓を守る会