活動レポート第24回(2010)
地域でのネットワークを広げ、情報やノウハウを共有し活動を充実させていこうとする、各地での取り組みをレポート
第13回沖縄学習会 in 沖縄(2010年7月5日)
ピアカウンセリングの技術についての演習を行い、知識を再確認し改善策を探る
第13回沖縄学習会が、いち早く梅雨明けした7月5日に開催されました。今回は、沖縄国際大学教授で臨床心理士の上田幸彦先生を講師に招いて研修した前回の「ピアカウンセリングの基礎知識」の内容を復習し、それぞれの患者団体でどう生かしていくかを考えようという内容です。まず、前回不参加の人に講義の内容を要約して伝え、その後3人1組となり、相談者、カウンセラー、その観察者の役で演習を実施しました。
演習では「週末はどう過ごしましたか」を話題に3分間、全員が3つの役を経験した後、それぞれ感想を述べ合いました。言葉を使わないノンバーバルコミュニケーションについては、「笑顔が話しやすさをひきだしている」「そうなんですねという相づち」などのよい点、「視線の置きどころが難しい」などの反省点が挙げられました。会話の運び方では、「私の勉強不足ですが、それはどういうことですか、という問いかけがよかった」「次に何を聞こうかということに意識が行って、相手の話に集中できなかった」「あまり話したがらない人には質問が多くなり、余計に相手が話せなくなるようだ」などのさまざまな感想が挙がり、それらに対して意見を出し合いました。
普段行っているピアカウンセリングの知識を再確認する、失敗事例から改善策を探る、より効果的な手法が見つかるなどの成果があり、今回のようなカウンセラー同士の研修がとても有効だということが確認できた学習会となりました。
参加団体
沖縄県難病・相談支援センター認定NPO法人 アンビシャス/ 日本膠原病友の会 沖縄県支部/ 日本ALS協会 沖縄県支部/ 沖縄IBD
第11回北陸学習会 in 富山(2010年7月24・25日)
「伝わる・つながる・広がるコツ」第2弾! パソコン講習を中心に宿泊研修会を実施
「伝わる・つながる・広がるコツ」をテーマに取り組む北陸学習会では、前回に続いてNPO法人PCTOOL代表の能登貴史さんを講師に迎え、「実技編・人が集まるチラシの効用」として基本的なノウハウを学ぶ宿泊研修会を開催しました。
パソコン講習では、行事案内のチラシ作成を想定して、基本ソフトであるワードの操作を学びました。今まで、自己流で苦労しながら会報やチラシを作成していたという参加者が多く、「こんなに簡単にできるの?!」「便利な機能を知らなくて損していた」「できるようになってうれしい」などという声が飛び交いました。
地域の市民活動をサポートする立場からパソコン講習を展開している能登さんからは、「文章を全部入力してからレイアウトした方が効率的」「地図があると集客力が高まる」「パワーポイントで団体紹介を作っておくとよい」などと実践的なアドバイスも多く、参加者にもとても好評でした。
最後に能登さんは「最も重要なことは、団体が何を目的に活動し、何を伝えたいかということで、パソコンはそれを伝えるツール(道具)。社会とつながる便利なツールなので、上手に使いこなして団体の可能性を広げてほしい」と強調しました。
充実した学習会を終えて、福井県や石川県からの参加者や、初参加した団体からも、これをきっかけに仲間に加わりたいという感想も聞かれ、まさに「伝わる・つながる・広がるコツ」を実践した形となりました。次回は、「応用編」としてインターネットやブログについて学ぶ予定です。
参加団体
富山IBD/ とやまSCD・MSA友の会/ (社)日本リウマチ友の会 富山支部/ 全国パーキンソン病友の会 富山県支部/ NPO法人 日本IDDMネットワーク/ 公益社団法人 認知症の人と家族の会 富山県支部/ 日本ALS協会 富山県支部/ ハレバレ会(福井県SCD)/ 石川県OPLL友の会
第13回九州学習会 in 熊本(2010年8月21日)
さまざまな技法を使った進行役としてのスキルアップ研修を実施
第13回九州学習会が「進行役スキルアップ研修」の内容で開催されました。患者団体のリーダーとしてセミナーや会議の場を想定し、まず会の雰囲気をやわらげるための「アイスブレイク(前座)」や、意見を出し合う時の「ブレーンストーミング」「ストラクチャーラウンド」という技法を使っての演習を行いました。
アイスブレイクでは、言葉を使わず手振りだけで誕生日の若い順に並んでいくなど、数種類の手軽にできる手法を実践。その後、4つのグループに分かれ次の演習がスタートしました。
ブレーンストーミングは、できるだけ多くの案を短い時間に出し合うというもの。出された案に質問や肯定的、否定的な意見も出さず、とにかく案を列挙していくのがルールです。今回は各自が出した「現在、困っている身近な問題」から1つをテーマに選び、意見を出し合いました。
次のストラクチャーラウンドでは、「患者団体で困っていること」を出し合った中から1つをテーマに選び、順番を決めて全員が意見を述べていきました。「新会員を増やすには」「患者と家族の気持ちのずれへの対処方法」など、各グループが選んだテーマについて検討したことを発表しました。最後に全員に同じ新聞が配られ、気になった記事を3つ選んでもらい、全員で討論したい記事を1つに絞り、ストラクチャーラウンドを使ってディスカッションを行いました。
演習を通じて、積極的に意見を出す、相手の意見を聞く、全員で検討する、同じ新聞を読みながらも興味の対象は個々に違うという気づきなどを学び、問題解決へと導く進行役としての技法を実習することができ、有意義な学習会となりました。
参加団体
熊本県難病団体連絡協議会 / くまもとぱれっと/ 熊本SCD友の会/ 日本リウマチ友の会 熊本県支部 / 福岡県難病相談・支援センター / チョウチョウ会/ ピンクのリボン/ 九州IBDフォーラム 熊本IBD / 九州IBDフォーラム佐賀IBD 縁笑会/ 熊本市難病・疾病友の会(ボチボチの会)/ NPO法人 ばらん家
第17回関西学習会 in 大阪(2010年8月22日)
子ども時代からの体験を織り込んだ口唇口蓋形成不全ネットワークによる模擬発表
初参加の患者団体や、四国での学習会立ち上げに向けて徳島、高知からの参加者も迎えて、第17回関西学習会が開催されました。「患者の声を医学教育に組み込む」というテーマに沿っての模擬発表も17回目を迎え、今回は口唇口蓋形成不全ネットワークの松川誠さんが発表を行いました。
模擬発表では口唇口蓋裂の発症原因、症状、成長や発達に合わせて段階的に行う手術を含めた治療スケジュールなどが、詳細に、かつわかりやすく紹介されました。思春期でのコンプレックス、口腔外科医になるという将来の進路を決めてから熱心に治療法などを観察するようになったことなど、当事者として幼稚園児から大学生となった現在までの体験や心境が語られ、子どもを守りたいという親の気持ちはわかるが、過保護にならない程度に、子どもがつらい気持ちを打ち明けてきたら温かく受け入れてあげてほしいと結びました。
その後、この発表に対し意見交換が行われました。難病のある子どもを持つ親の会の参加者から感想として「本人が話されたことで成長の過程での心情が伝わり感動し、とても参考になった」また、「今回の発表の準備で親とどんな話をしたか」「親子で体験発表をしてはどうか」という意見やそれに対しての賛否もあり、そして「口唇口蓋形成不全ネットワークでは、発症原因はさまざまあって確定されておらず、それは決して親のせいではないことをアピールし続けている」などの活発な意見交換がなされました。
その後、各団体の催しなどの情報交換、さらに関西学習会の活動の柱を文言化しようとの提案があり、運営員が出した素案に対して検討がなされ、学習会を終了しました。
参加団体
小さないのち/ ひょうごセルフヘルプ支援センター/ 腎性尿崩症友の会 / 全国膠原病友の会 滋賀支部/ 口唇口蓋形成不全ネットワーク/ NPO法人 日本マルファン協会/ ドリームファクトリー / 竹の子の会/ しらさぎあいあい会/ CMT友の会/ 起立性調節障害の親の会/ 中枢性尿崩症の会/ とくしま難病支援ネットワーク/ NPO法人 高知県難病団体連絡協議会