CLOSE

このサイトは、ファイザー株式会社が社会貢献活動として発行しております『まねきねこ』の情報誌のウェブ版です。
まねきねこの郵送、もしくは郵送停止はこちらからご連絡ください。
なお、個別の疾患の相談は受け付けておりません。

お問い合わせはこちら

※メーラーが起動します。

活動紹介 第40回(2015)

活動紹介 第40回(2015)

地域でのネットワークを広げ、情報やノウハウを共有し活動を充実させていこうとする、各地での取り組みをレポート

第33回関東学習会 in 東京(2015年 9月27日)
難病患者の就労と、病児への理解─異なるテーマの模擬講演を基にグループ討議を行う

9月27日、東京のファイザー株式会社本社で第33回関東学習会が開催されました。

まず、CMT友の会の岸紀子さんが「障害・難病と就労の壁」をテーマに、企業の人事担当者を対象に想定した模擬講演を行いました。岸さんは、改正障害者雇用促進法について説明した後、患者側の課題としてCMT患者の事例を紹介。専門職であったり障がい者枠を利用して就職できるケースもある反面、就労途上で発病した場合、病状を雇用者や同僚に伝えにくく、職場の人間関係に悩む患者が多いことに理解を求めました。さらに、自ら雇用者側の経験もあることから、企業の事情も把握したうえで、患者団体が企業と障がいや難病のある人の橋渡し的な存在になり、ともに前に進んでいきたいという思いを伝えました。

次に、全国心臓病の子どもを守る会の芝崎久美子さんが、福祉関係者を対象に想定して、病児への理解を深めることを目的とした模擬講演を行いました。同団体の歩みや活動の様子、医療の進化に伴い重度の心臓病の子どもたちの生存率も高まった一方、成長した病児の教育や就労、結婚など新たな問題にも直面している現状を伝え、福祉関係者に理解や協力を依頼する内容を、自らの体験を織り込みながら語りました。

その後、模擬講演を聴いて気づいたことや学んだこと、聴講対象者を想定した場合の講演の組み立て方についてグループ討論が行われ、「法律などの説明より、当事者の経験や思いを伝えることを重視した方が良いのではないか」「一般論より、実際の事例の方が受け入れられやすいのではないか」「困っている当事者が発信するべき」「明確に聴講者に向けた内容にした方が良い」など、活発な意見交換が行われました。

最後に「模擬講演は、当事者にとってはつらいことを思い出す作業でもあるが、だからこそ自分の気持ちも整理でき、その思いが相手にも伝わるのではないか」と模擬講演の取り組みについての意義を確認して、今回の学習会を終えました。

第27回東北学習会 in 仙台(2015年 10月3日)
行政にも詳しい当事者の発表から社会資源の活用について学ぶ

第27回東北学習会が、仙台市市民活動サポートセンターで行われました。

今回は、まず、みやぎ脳外傷友の会 七夕の佐々木智賀子さんが、家族として当事者を支えてきた体験や、ピアカウンセラーとしての活動、厚生労働省の相談支援事業「よりそいホットライン」のコーディネーターとしての経験を語りました。佐々木さんは「悩み苦しんだことがだれかを助けるかもしれない。自分も救われる部分があると考え、日々の活動に取り組んでいる」と述べました。

次に、仙台市障害者福祉協会の阿部一彦さんが、厚生労働省の労働政策審議会委員の立場から「障害に基づく不当な差別の解消と合理的配慮について」をテーマに発表。改正障害者雇用促進法の概要を説明し、障がい者への理解を進めるための活動や、当事者団体の果たす役割について述べました。阿部さんは「改正障害者雇用促進法は、だれもが暮らしやすい地域にするためのステップとなる」と述べ、仙台市の差別解消を推進する条例づくりの活動についても言及。ともに障害者施策推進協議会委員として活動する別のメンバーから、「だれにでも病気や障がいは自分の身にも降りかかるかもしれない、身近なものとしてとらえてほしいことを伝えて、一般の人の関心も高めていきたい」と補足意見も述べられました。

事例発表を受けたグループ討議では、「行政と上手に付き合うことが必要」「福祉行政に声を届けるためにはネットワークを構築することが必要」「最終的には障がいのある人もない人も快適に過ごせる街づくりが目的」「先人の努力でできた福祉制度を守り、次世代の人により良いものを渡すことが私たちの使命」「地域格差をなくすために、ネットワークをつくり情報交換をすることは有用」など社会資源の活用について多様な意見が交わされました。市の職員として福祉行政に携わる参加者からの情報提供もあり、実践的な話し合いの中で得た情報や、学び考えた成果を所属団体に持ち帰り、より深めていくことを確認しました。

第24回北陸学習会 in 石川(2015年 10月17日)
「伝える力」をテーマに模擬講演を実施グループワークでの検討を行う

第24回北陸学習会が、金沢市の石川県NPO活動支援センターあいむで開催されました。テーマは「伝える力をつける〜社会に信頼されるヘルスケア関連団体となるために〜」。患者団体のリーダーが模擬講演を行い、グループワークで検討していくという内容の学習会は今回で4回目となりました。

まず、富山IBDの梅沢敏之さんが、対象を同病患者に想定し、30分の講演を行いました。発症から現在までの経緯、患者団体の概要からさまざまな外部団体などとのかかわりを伝えました。グループワークの検討では「30分の中でよくまとまっていた」「発表スライドの写真に工夫があった」「普段の生活での苦労をもう少し入れれば患者と思いを共有できるのでは」などの意見が出ました。

昼食後は、全国パーキンソン病友の会 富山県支部の尾山充さんによる、患者団体リーダーを対象に想定した講演が行われました。すぐにできなくなることはないが、いつの間にかできなくなっているという怖さ、薬のコントロールの難しさについて語り、パーキンソン病の特徴的な姿勢を実際に見せる、自作の詩「誰のせいでもない」の朗読などの工夫が評価されたほか、「訥々とした語りに説得力があった」などの意見が出されました。

今回の2講演では、発表スライドの使用の有無などそれぞれに特徴が見られ、「伝える手法について学習できた」という感想が挙げられました。さらに、石川県OPLL友の会の大田和子さんからの関西学習会への参加報告や、日本ALS協会 富山県支部 野村明子さんのオランダの在宅ケア組織の視察報告もあり、内容の濃い1日となりました。

第34回関西学習会 in 大阪(2015年11月14日)
第15回ワークショップの報告と検討さらに今後の学習会テーマについて話し合う

第34回関西学習会が大阪市のたかつガーデンで開催されました。

まず、2015年10月31日〜11月1日に開催された第15回ヘルスケア関連団体ワークショップに参加した、NPO法人 ひょうごセルフヘルプ支援センターの浅野とも子さんと、しらさぎアイアイ会の中尾郁子さんによる報告がありました。各グループのまとめ発表でのスライドを使って報告を行い、「軌跡・継続・変革」のテーマによる基調講演についてや、それを受けてのワークショップでの成果として、「患者団体活動を変革するためにはどうすればいいか、具体例が参考になった」「リーダーと会員の温度差に悩んでいる中で適切なアドバイスをもらった」などの感想を語りました。それに対して参加者からは「とても充実したワークショップであったことが伝わった」「団体運営などに関する適切なアイデアが出てきたようで、報告はとても参考になった」などの意見が出ました。

その後、来年度の学習会のテーマについて話し合いが行われ、精査している『患者・家族が語る講演のポイントチェックリスト』の完成に向けての作業、模擬講演の継続、新たに患者団体を運営していくための助成金申請の勉強などをしていきたいという意見が出されました。奈良県立医科大学健康政策医学講座の講師、岡本左和子さんからは「助成金を出している企業などはたくさんある。貪欲に探しましょう」と、アメリカの患者団体の助成金申請のノウハウなどが紹介されました。最後に各団体からのイベントなどの情報交換を行い、学習会を締めくくりました。

第26回沖縄学習会 in 沖縄(2015年 11月23日)
初めての参加者を多数迎えVHO-netの仕組みや各団体の活動紹介を交えて話し合いを行う

第26回沖縄学習会が沖縄産業支援センターにて開催されました。今回は離島の患者団体など、初めての参加者が3団体5名おり、ビデオでのVHO-netの活動紹介、VHO-net・地域学習会5か条の確認、各団体の活動紹介、グラウンドルールの設定などが丁寧に説明されたことが功を奏し、和やかな雰囲気のもと進行しました。

昼食後は、「ピアサポートをしていて良かったこと、困ったこと」について話し合いが行われました。離島の神経難病友の会では、保健所主催で患者団体を立ち上げたが自然消滅し、その後やはり必要だと患者が再度立ち上げたという経緯が話され、今回のVHO-netの仕組みを知って、勉強したい、情報を得たいと言う声が上がりました。また、網膜色素変性症の団体は、視覚障がいがあるために団体の事務処理に支障が出ることや、役員不足を心配しながらも、何より団体に入ったことで情報が得られ、社会参加できることの喜びを語りました。また、日本ALS協会からは、コミュニケーションツールとして文字盤ツール、パソコンのアプリケーションなども増えているが、専門職には浸透しておらず、医療の現場では後回しにされているなどの意見が出ました。

その後、沖縄学習会がこれまで行ってきた、「ピアサポートの成功・失敗事例」を初参加者に紹介するために、1例をピックアップして全員で検討しました。それぞれの意見の中に自分の闘病生活や患者団体活動を通じての思いを盛り込みながら、初参加者ものびのびと発言できた学習会となりました。

第13回東海学習会 in 愛知(2015年 11月28日)
2つの模擬講演の検討を行い『ピアサポート5か条』を読み込んで討論する

第13回東海学習会が名古屋都市センターで開催されました。テーマは前回に引き続き、「『お互いを知り、つながりを深めよう』〜それぞれの疾患や患者会活動を理解し合う『交流と学び』〜」。

まず、CMT友の会の山田隆司さんが福祉系のイベントに参加した一般人を対象に想定し、30分の講演を行いました。末梢神経がおかされ手足の筋力が低下していくが、個人差が大きく幅広い臨床像をもつという疾患説明や、患者・家族が出会う機会が少なく、インターネットで団体を立ち上げ定期的に交流会を行い、ピアサポートを中心理念として活動していることなどを語りました。友の会がネガティブからポジティブへのスイッチになる役割を果たしていきたいという言葉が印象的でした。

午後には、全国パーキンソン病友の会 静岡県支部の寄川寿明さんが一般の人を対象に想定した講演を行いました。振戦(ふるえ)、筋固縮、無動、姿勢反射障がいなどの4大症状、服薬コントロールの難しさ、患者数が多いことから神経性難病の中では研究が進んでいる病気であることなどを訥々とした口調で語り、聞く者を引きつけました。

それぞれの講演に対しての質疑応答の後、2015年に発行された『VHO-netが考えるピアサポート5か条』について読み込みを行い、3グループに分かれて意見を出し合いました。ピアサポートが定義されたことへの共感、難病法でのピアサポートのとらえ方との違いなどの疑問点、相談内容の記録の残し方などについて議論が続き、充実した学習会となりました。