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活動紹介 第48回(2018)

活動紹介 第48回(2018)

第33回 沖縄学習会 in 那覇(2018年5月26日)
医療ソーシャルワーカーの講演から学びピアサポートの相談事例の検討を行う

第33回沖縄学習会が豊見城市の沖縄空手会館で開催されました。

まず、沖縄県医療ソーシャルワーカー協会理事で、琉球大学医学部附属病院医療福祉支援センターの石郷岡美穂さんから「医療ソーシャルワーカーの役割・機能とピアサポーターの活用」と題して講演がありました。
日本では医療ソーシャルワーカー(MSW)の職名ですが、アメリカやイギリスでは「医療」を外し、ソーシャルワーカー(以下、SW)であることが紹介されました。それは仕事のフィールドが保健医療だけでなく、介護、障がい福祉、行政、司法、教育機関、民間企業、患者支援団体など多分野にわたるためです。高度医療の現場でSWの専門性を発揮する石郷岡さんの役割や、「患者さんにとって非日常の世界(病院)で私は日常を送っている」という日々の心構え、そして同じ疾患の患者・家族のピアサポートへの期待を語りました。

講演を受けての全体討論では、「難病の娘の闘病ではSWの存在さえ知らなかった」「医師はピアサポートをどう捉えているか」「石郷岡さんの心構えが心に響いた」など、活発な質疑応答、感想が述べられました。
その後、沖縄学習会で継続している、ピアサポートでの相談事例が提示され検討を行いました。事例の内容は、家族から患者団体に依頼があり、ピアサポーターが病室で面談したことに対し、病院側から、病院を介さずに直接会ったことを注意されたというものです。さまざまな観点から意見が述べられ、課題を共有しました。初参加者からは「とても刺激を受けた」という感想があり、充実した学習会となりました。

第18回 東海学習会 in 名古屋(2018年6月17日)
他の組織・団体とのつながりについてグループワークを通して情報を共有する

第18回東海学習会が名古屋都市センターで開催されました。テーマは「『つながろう地元、掘り進めよう地元』〜立場を越えたピアサポートと住みやすい地域づくりを考えよう〜」です。
第一プログラムの「みんなの前でしゃべってみようよ」では、精神障がい・発達障がい者の就労を応援する「雇もれびの会」代表の榊原彰良さんが発表を行いました。疾患説明、自身の病歴と就職を通しての体験(配慮や困ったこと)、ブログや会報誌での就職情報発信、当事者の就労意識調査の実施などの活動を通じて、就労を通して社会とつながりたい希望が強いことなどを伝えました。質疑応答では、何度も面接で落ちる人にどのような言葉をかけたらいいのか、また雇用する側の認識についての現状や就労支援制度について、疾患の違いを越えた意見交換が行われました。

午後からは第二プログラム「東海学習会エリアの地元情報を集めよう Part3〜他組織・団体とつながる〜」へ。4グループに分かれ、自分たちの所属する患者団体がどのような組織・団体とつながっているかを抽出し、分類・整理していきました。発表されたつながりのある団体は、行政や医療・教育機関、ボランティア団体、企業(資金助成)、マスコミや国際的な組織など多様であることや、地元ならではのつながり、うまく付き合うコツなどが紹介されました。また、各グループともにVHO-netで他のヘルスケア関連団体とつながることのメリットが述べられました。各団体がもっている情報やノウハウを共有し、グループの発表内容が素晴らしい情報源になっていることを確認しました。

第32回 東北学習会 in 仙台(2018年7月1日)
社会や医療関係者への発信を目指し模擬講演に取り組む

仙台市シルバーセンターで、第32回東北学習会が行われました。以前から社会資源について学んできた東北学習会では、当事者団体も社会資源であり、当事者の社会への発信や啓発も重要との考えから、今回は、関西学習会作成の『「患者・家族が語る」講演のポイント チェックリスト』を活用した模擬講演に取り組むことになりました。
まず、仙台ポリオの会の小関理さんが、看護学生を想定した模擬講演を行い、「患者のつらさ」をテーマに、自らの思いや医療関係者に知っておいてほしいことを述べました。次に、乳腺患者会プリティふらわぁの松原玲子さんが、乳がんと診断された患者を想定して、乳がんの症状や治療法、患者団体の活動などを紹介する模擬講演を行いました。
模擬講演を受けたグループ討議では、「自分の言葉で語ると、苦悩や思いがよく伝わることを再認識した」「上手な言葉で話すことより、つらさを思い出して言葉に詰まるなど、当事者ならではの語りの方が伝わる」との感想や、「松原さんの講演では対象者の状況をもっと絞り込んだ方が語りやすかったのではないか」などの意見が出されました。

また、今回の取り組みをふまえ、「対象に合わせて、どのように整理して語るか、スキルを身につけたい」「医療系学生に、教科書に載っていない事例や実体験を伝え、学んでもらいたい」「講演する際にチェックリストをぜひ役立てたい」「すべての人が生きやすい社会を実現するために、伝える力を高め、行政や教育の場で発表する機会を増やしていきたい」などの要望や提案も紹介されました。
まとめとして、社会福祉法人 仙台市障害者福祉協会の阿部一彦さんが「病気があっても元気に地域で生活するために、当事者が発信していくことが役立つ」と語り、中央世話人の増田一世さんが「模擬講演を積み重ねることで、東北の次なる発展に結びつくと思う」と期待を述べて締めくくりました。今回は、青森からの参加もあり、東北でのネットワークの広がりも実感できる学習会となったようです。

第12回 北海道学習会 in 札幌(2018年7月7日)
体験発表を通し、お互いの理解を深めつながりを広げる

札幌市の北海道難病センターで第12回北海道学習会が開催され、体験発表とグループ討議が行われました。 体験発表ではまず、Fabry NEXTの中村誠悟さんが、ファブリー病について、先天性代謝異常症の一種で、疼痛を含む神経症状や、低・無汗症などの皮膚症状、心機能障害や腎機能障害などを伴う病気であることを語りました。そして発症後の経緯や思春期の悩み、就労の苦労、現在の生活の様子などを紹介し、「今日のように、病気になったからこその出会いもあり、人生を悲観はしていない」と締めくくりました。
次に、つばめの会の澤田真由美さんが摂食・嚥下障がい児について自らの体験を交えて説明し、親の会である「つばめの会」についても紹介しました。同会の会員は患児の介護に追われる母親が多いので、インターネットを活用して交流する一方、摂食障がいや医療的ケア児に関係する学会などにも積極的に参加しており、「子どもや家族の現状、支援の必要性を社会に発信していきたい」と語りました。グループ討議では、2人の体験発表の感想や、参加者それぞれの体験、所属団体の活動について、活発な意見交換が行われました。

グループ発表では、「実際に体験を聞くと、よく理解できる」「患児の世話に追われる親の会の、運営の難しさを実感した」との感想や就労問題、子どもへの病気の告知、医療連携の不十分さなど共通する課題について、話し合われたことが紹介されました。また、「北のポリオの会」や「表皮水疱症友の会 Deb R AJapan」など、会員数が少ない団体での活動の工夫なども共有しました。
総括として、「他の団体の発表を聞くことで、共通する悩みや課題がわかり、良い刺激を受ける」との感想や、「この出会いを大切に、SNSなどを活用してつながっていこう」という提案もあり、地域世話人の増田靖子さんは「広い北海道での交流には困難が伴うが、だからこそこのつながりを大切にしたい」と発言。参加団体も増え、それぞれが積極的に討議に加わり、北海道学習会の前進が感じられる集まりとなりました。

第42回 関西学習会 in 大阪(2018年7月21日)
ヘルスケア関連団体による模擬講演と今後、講演の機会を増やしていくためにグループワークで検討を行う

大阪府社会福祉会館において、第42回関西学習会が開催されました。
午前は、NPO法人 日本マルファン協会の猪井佳子さんが、看護学生を対象とした模擬講演を行いました。マルファン症候群の疾患説明、中でも心血管系では自覚症状がなく突然、重篤な症状が出るなど、疾患情報の有無は命にかかわることを説明しました。
長女の診断を機に、自身も遺伝学的検査を受け同病だと知った時の驚きや、精神的な葛藤や手術を乗り越えてきた経緯、家族の信頼関係の大切さ、患者団体活動、看護学生に期待したい患者・家族への配慮などを発表しました。質疑応答では、「患児ではない次女は状況をどう受け止めていたのか」「自身の診断時、病気と向き合い〝生き方が定まった〞という言葉はインパクトがあった」などが挙がりました。その後、関西学習会作成の『「患者・家族が語る」講演のポイント チェックリスト』に則って講評を行い、「とても聞きやすいペースだった」「母子の会話では涙で詰まった部分もあったが必要な話だと思う」「スライドでの1行の文章の大切さを改めて意識した」などの感想が出されました。

午後からは、患者・家族が語る講演の場を探そう、増やそうというテーマで3班でのグループワークへ。対象者や目的、アプローチをする機関(行政、医療・教育機関など)、予算、企画書の必要性など、今回はまず自由に意見を出し合い、方向性を探っていこうという趣旨で行いました。助成金やイベントの情報交換もあり、初参加の団体や、VHO-netに登録されたヘルスケア関連団体も増え、充実した学習会となりました。