VHO-netが取り組むSDGs~未来に向けて
多様性と包摂性のある社会実現のために
ヘルスケア関連団体が取り組むべき持続可能な開発目標を考える
2020年10月24日、第20回ヘルスケア関連団体ネットワーキングの会のワークショップがオンラインで開催されました。
今回のワークショップでは、2015年の国連サミットで採択されたSDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標)から、多様性と包摂性のある社会実現に向けてヘルスケア関連団体が持続的に活動することを目指し、2030年をターゲットにして設定された7つの目標について議論が行われました。
また第20回を記念して、中心的に活動にかかわってきたメンバーが20年間を振り返り、今後への期待を語り合う「ファイアーサイド・チャット」や、VHO-netの発展に貢献してきた10名の皆さんの表彰式、20年間を振り返るスライドショーなど、オンライン開催の中で多彩なプログラムが展開されました。
コロナ禍だからこそつながろうとオンライン開催を実現
2020年は、コロナ禍の影響を受けてワークショップの開催が危ぶまれましたが、「こんな時だからこそ、VHO-netがつながることが重要ではないか」とワークショップ準備委員や事務局がオンラインでの開催を検討。全国の地域学習会をすべてオンライン化し、200人近くに接続テストを行いオンラインに対応できるメンバーを増やし、またオンライン会議のマニュアルやルールづくりにも取り組み、ワークショップ開催へとこぎつけました。
当日は、参加者全員が全体会のWebU R Lに接続してワークショップがスタート。まず、開会の挨拶として中央世話人の伊藤智樹さんが「SDGsに結びつけて、VHO-netの将来を考えていく中で、未来を考えるワクワク感も共有したい。オンラインでのワークショップの経験を今後の活動に活かしましょう」と発言。つづいてファイザー株式会社 代表取締役社長 原田明久氏がビデオメッセージで「SDGsをリードする取り組みとなることを期待しています」と歓迎の挨拶を行いました。その後、ファイアーサイド・チャット、ワークショップの趣旨説明に続いて、7つのテーマ別の分科会へと進みました。
20年の歩みを振り返り、 今後の期待を語り合う
ファイアーサイド・チャットとは、暖炉を囲んで語り合うような、和やかな雰囲気の中での談話のこと。中央世話人の照喜名通さんの司会進行により、代表世話人の増田一世さん・森幸子さん、中央世話人の松下年子さん、事務局の喜島智香子さん(ファイザー株式会社)が、ワークショップの20年の歩みを振り返り、さらに、今回の「VHO -netが取り組むSDGs」というテーマへの期待を語り合いました。
振り返りでは、「各団体の違いを越えた取り組みと聞いて活動に加わった。初回のワークショップは緊張とワクワク感でいっぱいだった」「地域学習会によって、身近な地域で一気に社会との広がりが生まれた」「故・開原成允先生の協力で医師が参加した第4回ワークショップは活動の転機となった。患者講師の取り組みや、医療関係者との協働という成果が生まれた」など印象的なエピソードが紹介され、ワークショップの歩みは医療や社会の変化と深くかかわり、日本のヘルスケア関連団体の活動に影響を与えてきたことが実感されました。
最後に照喜名さんは「これまでの固定概念にとらわれず、新しい発想と柔軟な考えを出し合って、積極的に議論してほしい」と今回のワークショップへの期待を語りました。
趣旨説明:ヘルスケア関連団体の2030年のあるべき姿を目指して
趣旨説明では、ワークショップ準備委員の田港華子さん(日本ALS協会 沖縄県支部)が、第20回という節目のワークショップを迎えるにあたって「SDGs」を取り上げたことに言及。2015年に国連サミットが提唱した17項目の「持続可能な開発目標」から、ヘルスケア関連団体にかかわりの深い10項目を取り上げ、さらに「誰一人取り残さない」という視点を重視して、ヘルスケア関連団体が取り組むべき7つの目標と重点課題を設定した経緯を説明しました。
田港さんは、「SDGsでいわれる多様性と包摂性は、私たちが以前から目指してきたこと。ヘルスケア関連団体の2030年のあるべき姿に向けて、持続可能な開発目標を共有し、自分の団体に必要な具体的な行動変容に活かしていこうと話し合いました」と説明。さらに、ワークショップは次の1年の活動のエネルギーを得られる場であり、コロナ禍の中だからこそ、開催することに意味があると思うと語り、「今回のワークショップにより、活動や団体のあり方をより良く変えていきましょう」と参加者に呼びかけました。
VHO-netの発展に貢献した皆さんに感謝状贈呈
VHO-netの活動に深くかかわり、多くの学びを創出するための企画立案をするなど、その発展に貢献してきた10名の皆さんに対して、「日本のヘルスケア関連団体の活動に大きな影響を与えた功績」を称え、ファイザー株式会社より感謝状が贈られました。
10名の皆さんはそれぞれ、自ら闘病しながら、あるいは医療関係者や支援者としての専門性を活かしながら、VHO-netの立ち上げやワークショップ開催に尽力し活動を牽引。多くのメンバーを励まし、勇気づけながら、日本のヘルスケア関連団体の成長やネットワークの広がりを支えてきました。一人ひとりのコメントにも、VHO-netやワークショップの足跡が感じられ、第20回のワークショップを締めくくるにふさわしいひとときとなりました。
感謝状が贈られた皆さん
●(公社)埼玉県精神保健福祉協会 理事 高畑隆さん
● NPO法人 日本コンチネンス協会 代表理事 西村かおるさん
●Madison4kids(Founding Board Member) タズコ・ファーガソンさん
●(公社)やどかりの里 理事長 増田一世さん
● 認定NPO法人 佐賀県難病支援ネットワーク 理事長 三原睦子さん
●(一社)全国膠原病友の会 代表理事 森幸子さん
● 横浜市立大学医学研究科看護学専攻・医学部看護学科 教授 松下年子さん
●(公社)日本オストミー協会横浜市支部 副支部長 山根則子さん
● 地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所 島田千穂さん
● 認定NPO法人 アンビシャス 副理事長 照喜名通さん