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「患者力“医師とのパートナーシップ”」 開催報告 第6回ヘルスケア関連団体ワークショップ

「患者力“医師とのパートナーシップ”」
開催報告 第6回ヘルスケア関連団体ワークショップ

2006年10月28、29日、東京都大田区のアポロ・ラーニングセンターにおいて、第6回ヘルスケア関連団体ワークショップが開かれましたので、報告いたします。

今回は、昨年のテーマ「つなぐ|医療関係者とのよりよい関係|」を引き継いで、「患者力ー医師とのパートナーシップー」がテーマでした。全体のワークショップでは、準備委員の中田郷子さんと箕輪良行さん(聖マリアンナ医科大学救急医学教室)が趣旨説明を行い、その後、分科会が行われました。特に今回は、多くの医療関係者の参加を得て分科会でも各グループに1名以上の医師が加わり、双方の立場から、より建設的で現実的な話し合いが行われました。分科会のグループ発表では、ヘルスケア関連団体のメンバーから「患者のプロ」としてどのように医療情報を収集し、評価し、提供するかというメディカルリテラシー(Medical Literacy)や、医療関係者とのよりよいパートナーシップについての取り組みが提案されました。ここだけの討議にとどめず実行できるプランを探り、地域学習会や各団体に引き継ぎ、できることから具体的に取り組む方向が示されたことも今回の大きな特徴で、ワークショップから生まれたネットワークがより広く、力強く進化しつつあることが感じられました。

分科会発表
「医師を交えて、よりよいパートナーシップのあり方を探る」
グループ1

医師と同志になれば、患者力も高まる
患者団体は医師と敵対でもなく、上下でもない、対等な関係であるべき。医師と同志となれば、力も2倍、3倍になる。具体的には、医師と患者が共有する疾患別コミュニケーションツールの作成や、ガイドライン作成への参画、新しい保健教育への働きかけなどを行っていきたい。

グループ2

パートナーシップを高めるための取り組みを
医師とのパートナーシップを促進するために、「医師の選択」、「症状の表現方法」、「病気への理解」(情報交換や患者教室の実施)、「病気・障がいの受容」、「制度・システムの整備」(医師の就労改善)などに取り組むべき。病院の情報開示を頼るだけでなく患者側にも情報を見極める力が必要である。

グループ3

もっともっと医療者に知ってもらいたい
患者力を集結するために体験談などのデータベースの作成、子どもや新しい人への配慮など情報提供方法の工夫が必要。現状をもっと医療者に知らせるために、学会や市民講座、医療職の学校や現場での講演をめざし、出前講座の売り込み、ネットワーク作りなどに取り組む。

グループ4

医療機関に信頼される患者会をめざそう
患者力・コミュニケーション力を高めるために、「コミュニケーションの観点から標準化された問診票の作成・提案」、「医療機関内の相談窓口との連携」、「院内図書室に患者団体コーナーの設置」などに取り組む。活動の情報開示や団体のサポートスタッフの認定制度を設けるなどして、患者団体の社会的認知度を高め、医療機関に信頼される患者団体をめざそう。

グループ5

医者と患者のコラボレーションをめざそう
理解不足、または指示を守らないなど患者側の問題や診療報酬制度など医師一人で解決できない問題もある。よりよい関係を作るために、医師・患者相互の生の声をお互いに届けることが大切。提言、恊働、相互理解などから医者と患者のコラボレーションをめざそう。

グループ6

アクティブな患者になって、患者力を高めよう
情報を見極める力や説明力、理解力を身につけ、アクティブな患者になろう。患者力を高めるために「記録をつける」、「よい医者を選ぶ」、「発信する」、「生きる力をつける」などが考えられる。医学教育への参画は講師となる患者自身も成長し、団体の人材育成にもつながる。

グループ7

医療者と患者が共に育ち合うために
受け身の情報、コミュニケーション不足を払拭するために、「病気についての勉強」、「最新情報の収集」、「コミュニケーション能力」などが必要。医療者と患者が共に育ち合うために、医療関係者向けの患者団体主催の講演会の開催や患者が考える医学教育資材の作成などに取り組みたい。

グループ8

患者力とは、患者の声を伝える
患者力とは患者の声を伝える力である。それを高めるために相談事業の充実やネットワーク作り、使える統計資料の作成、医師とのパートナーシップの事例発表などに取り組もう。

地域学習会報告
「北海道に続き、北陸、沖縄でも準備会が発足」

分科会に先立って行われた各学習会の活動報告。地域性も出て、なごやかな雰囲気の報告会となりました。

具体的な活動に取り組む
東北学習会(東北ヘルスケアネット) 阿部一彦さん

「災害時要援護者対策を考える会」を発足し、他の課題にもプロジェクトチームで取り組んでいます。学習会を重ね、ホームページも開設し、地域社会への提言と変革の原動力をめざし、ようやく具体的な活動ができるようになってきました。

事例発表を実施
関東学習会 中田郷子さん

「医療者とのよりよい関係作り」をテーマに、「アラジーポット」、「オストミー協会」、「MSキャビン」、「楽患ねっと」が事例発表を行ってきました。今後は、事例発表をもとに議論を深め、ワークショップで提案された行動案をもとに活動していきたいと考えています。

出前講座に挑戦中
関西学習会 久保田百合子さん

患者の声を医学教育に活かすために、模擬発表や発表用スライド作成の講習会などを実施し、看護学校などで講演しています。「わネットKansai」というホームページも立ち上げ、「出前講座」をアピールするなど、双方向の広がりをめざして活動したいと考えています。

今後の活動で輪を広げる
北海道学習会 大竹伸夫さん

7月に第1回目の学習会を開催し、12月に第2回が行われました。北海道地区が抱える問題の解決策を探りながら、他の団体とのネットワークを作り、立場を越えて話し合い、人の輪を広げていきたいと考えています。

患者力を高めるために
九州学習会 三原睦子さん

6月の学習会では、患者、医療者、保健師が本音で語り合い、今後の連携のあり方を探りました。9月には患者力をつけるための情報収集の方法を話し合いました。今後も、患者や社会への情報提供、医師との連携などをめざし、患者力を高めていきたいと考えています。

2007年結成予定
北陸地区準備会 勝田登志子さん

2007年3月に準備会を開くことが決まり、点から線へ、面へとやっとつながりました。他の地域の学習会を参考にしながら、「いいとこどり」をして、追いつき追い越せと思っています。力をお貸しください。

結成準備を
沖縄地区準備会 照喜名通さん

沖縄は陸路で動けないという特性から、人とお金と時間を共有しにくい条件がありますが、いろいろな立場の人と交流していきたいと思います。希望をもって沖縄で活動していきたいと考えています。