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「患者・家族の声を」患者大行動

「患者・家族の声を」患者大行動
難病・長期慢性疾患・小児慢性疾患

2007年12月に「患者・家族の声を! 12.3全国大集会・大行動」、続いて2008年2月には「難病対策の充実と新規疾患追加を求める 緊急集会と要請行動」が行われました。公的医療制度拡充に向け、多くの患者団体がそれぞれの立場を超えて大規模な形で取り組んだ画期的な当事者運動に、事務局としてかかわったJPA(日本難病・疾病団体協議会)事務局長の坂本秀夫さんにお話を伺いました。

JPA(日本難病・疾病団体協議会)
事務局長 坂本秀夫さん

79の患者団体の連携により、大きな動きとなる

一連の活動の出発点は、パーキンソン病と潰瘍性大腸炎が難病指定から外されるという問題への対応でした。私たちはこの2疾患だけでなく、特定疾患治療研究事業全体にかかわる問題だと受け止め、JPA加盟団体をはじめ広くほかの団体にも呼びかけて討議をする必要があると、約1年前に勉強会を発足させました。次に勉強会を基盤として実行委員会を設置し、JPAが事務局団体となって2007年12月に「全国大行動」を実現しました。その結果、難病対策の予算を大幅に増やすことができ、2008年2月には「緊急集会と要請行動」を行い、新規疾患の追加指定を求めるところにまで発展しました。厚生労働省は、増えた予算は医療費の負担増等で消えるため、新規疾患指定の余裕はないとの見解でしたが、患者団体の意向を聞いたうえで難病施策を進めるという姿勢がみられるようになってきました。患者団体が団結して運動を行い、難病議連の国会議員も積極的にかかわり、またメディアにも注目されたことが、これだけ大きな動きにつながったと思います。

患者団体の中にも意識の変化が生まれています。以前は限られた予算を狭い範囲で分け合おうという考え方がありましたが、この運動に取り組む中で全体の医療にかかわる予算を増やして、より幅広く問題をとらえようという考え方になってきています。同時に、まだ患者団体となっていない疾病の患者たちが団体を立ち上げたり、あるいは他の団体の活動の仕方を学んだりといった個々の成果も生まれました。

JPAが軸となって、多様な団体との連携をめざしたい

今後の課題としては、既存の患者団体と新しい患者団体とのギャップを埋めていくことが必要だと感じています。新しい患者団体である若い人たちの、インターネットを駆使する能力や活動への強い思いと、従来のような地道な患者団体活動とをどのように連携していくかを考えなければならないと思います。

JPAに課せられている課題は、設立時の「患者団体のナショナルセンターをめざす」という目標の実践です。そのためには、JPAが軸となり、さまざまな団体に参加してもらえる体制を整えるために、専従スタッフをおくことや財政確保が必要です。まずは「不要入れ歯リサイクルキャンペーン」の全国的展開を考えています。これは入れ歯の希少金属を有効活用するリサイクル運動で、収益金の一部はユニセフ協会に寄付され、残りは参加団体の収入となります。資源活用にも社会貢献にもなるので、私たちが取り組む運動として適していると考え、すでに研修会を行っています。

また混合診療の問題では、私たち患者団体が取り組んだ結果として、混合診療解禁に歯止めがかかったと考えています。しかしほかにも後期高齢者医療など、問題が山積しています。体制を整え、医療や難病患者にかかわる政策課題にも積極的に取り組み、ナショナルセンターとしての役割を果たしていきたいと考えています。

患者大行動の概要

「予算確保! 誰もが安心して治療が受けられる社会に」をスローガンに、2007年12月2日に「つどい」「交流会」、3日に「全国集会」「大臣要請」「厚労省交渉」「議員要請」「記者会見」という患者大行動の一連の取り組みが行われました。要請行動では共通要望書(アピール)を提出し、各団体の要望書とも合わせて参加79団体の要望事項を集約した冊子「患者・家族の願い」を配布しました。また混合診療の全面解禁を求める動きが急浮上するなかで、慎重審議を求める決議文を配布し「安全で効果のある治療薬は保険適用で」との緊急決議を難病議連の各党国会議員に届けました。集会では7団体の代表が、切実な要望と施策の拡充を訴え、全員で前述のアピールと緊急決議を採択しました。この取り組みの結果、来年度の二疾患の難病指定継続と、36億円の予算増額となりました。この患者大行動を受けて、2008年2月17日、18日には「難病対策の拡充と、特定疾患治療研究事業および難治性疾患克服研究事業への新規対象疾患の追加を願う緊急集会と要請行動」が行われました。これは患者大行動での成果や特定疾患治療研究事業への大幅な予算増をふまえて、新規対象疾患の追加等を求めて再度東京に集まったものです。2日間の行動には、全国から27団体約60名の患者・家族が集まり国会議員要請などを行いました。昨年来から国会要請を重ねた結果、国会議員の反応が変わってくるなど、注目すべき変化が現れてきたことも報告されました。