第11回ヘルスケア関連団体ワークショップ、開催
次なるステップへ!
2011年10月29・30日、東京のファイザー株式会社アポロ・ラーニングセンターで、第11回ヘルスケア関連団体ワークショップが開催されました。2001年から始まったこれまで10年の活動から、さらなる10年を見据えての新たな第一歩へ。全国からヘルスケア関連団体のリーダーや医療関係者らが集い、熱い討論と温かな交流が繰り広げられました。
テーマ「もったいない! VHO-netの活かし方」
今回、第11回目のテーマは、「もったいない!VHO-netの活かし方」と設定されました。全国8地区での地域学習会の発足や『患者とつくる医学の教科書』の出版など、さまざまな発展や成果があった、継続してきてよかった……だけでは、もったいない!蓄積したノウハウやネットワークを今後、どう活かしていくのか、なにができるのか、具体的に話し合おうという趣旨です。今後10年をかけて長期的な展望のもとに、よりよい医療や生活に向けて、VHO-net全体として取り組んでいこうとの思いが込められました。
10月29日 第1日目
講演を刺激にワークショップへ
全国各地から続々と会場に集結する参加者。そこかしこで再会を喜ぶ笑顔が印象的でした。東日本大震災の被災県、宮城・福島県からも8名が参加。2011年12月には東北学習会が再開されることが告げられると、会場からは大きな拍手がわきました。そして、第1回目から参加の海外ゲスト、アメリカ関節炎基金のタズコ・ファーガソンさんの姿もありました。ファイザー株式会社代表取締役社長、梅田一郎の歓迎の挨拶では、東日本大震災被災地への今後の支援策として、心のケアに重点を置き、阪神大震災を体験した医療従事者による講演会を意欲的に行っていくとの方針が示されました。
VHO-netの事業報告では、8つの地域学習会の活動を紹介。その後、IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所]代表の川北秀人さんによる講演が行われました。行政・企業・NPOのマネジメントをアドバイスする立場から、ネットワークを構築し活動を続けることの重要性とその効果、ノウハウが語られ、まさに今回のテーマであるVHO-netの活かし方へのタイムリーな投げかけとなりました。午後からは、9グループに分かれて分科会が行われました。
10月30日 第2日目
グループ発表から、さらに議論へ
1日目夜の懇親会、ダンスパフォーマンス、深夜までのおしゃべりなど、楽しいひとときを過ごし、参加者は次の日を迎えました。2日目は、ワークショップで出された意見のまとめ作業が、意欲的に進められました。9グループの発表では「VHO-netを公益性をもった団体へ」「人材の活用方法」「成果や体験談を冊子やDVDとしてまとめる」など、共通する項目も多く見られました。また、ヘルスケア関連団体を充実させる「内向きの活動」、社会に発信する「外向きの活動」に加え、ヘルスケア関連団体同士がより強くつながるための「横向きの連携」というキーワードが出されました。グループ発表後、今回はさらに分科会2を設定。自分たちの提案内容に自らがかかわることを想定し、いつまでに(短期・中期・長期)、どのように進めていくかが議論され、再び発表が行われました。このようにして生まれたさまざまな案は、VHO-net世話人会とワークショップ準備委員会で検討されることになっています。最後の全体討論では、初参加の方の感想発表もありました。「患者当事者の方も含め、みなさんどうしてこんなに元気で明るいのかと驚いた。パワーも知識もいただいた」という意見が多く、今回も中身の濃い有意義なワークショップであったことを物語っていました。
まねきねこの視点
新たな活動の拡がりへの期待
〜まねきねこから見たVHO-netワークショップ〜
VHO-net第1回ワークショップは、疾病当事者、障がい者、家族、支援者などの団体のリーダーが一堂に会し、共通課題を話し合い、交流を通してエンパワメントし、疾病・障がいの違いや立場の違いを超えたネットワークを構築することを目的に開催されました。それまで、自団体運営の難しさやリーダーの孤独について語り合う機会は例がなかったことから、参加者は堰を切ったように、自らの疾病や障がいの大変さ、団体運営の苦労などを熱く語り合いました。
2回目、3回目と回を追うごとに参加者間の親睦や理解が深まり、違いを強調するよりも共通点を見出し、課題を共有し、解決に向けてともに取り組んでいこうという機運が生まれ情報交換や交流も盛んになりました。さらに、VHO-netの活動に参加する中で、会議の進行役としてのスキルを身につけるメンバーが増え、より有意義な話し合いができるようになりました。
また、地域学習会が次々と誕生し、地域での活動の裾野も拡がりました。『患者と作る医学の教科書』発刊や医学教育への参加を通して、医療関係者との協働も実現するようになり、福祉や行政とのネットワークも徐々に拡がり始めました。
『まねきねこ』では取材を通して、ワークショップの経験が参加者のみなさんを成長させ、笑顔を増やし、力づけていくことを実感してきました。参加者一人ひとりが主役となって、主体的に活動に取り組み、多くの人々と交流し時間を共有することによって、新しい気づきや学び、つながりが生まれ、参加者の間に確かなネットワークが育くまれています。
第11回のワークショップでは、「次の10年間」への活動として、過去10年間に蓄積した活動実績やノウハウ、ネットワークを活かし、よりよい医療や生活を実現するために、VHO-netとして社会に働きかけようという話し合いが行われました。発表された提案やアイデアについて、具体的な検討も始まっています。 長期的な展望のもと、新たなステップに進んだVHO-netのワークショップが、ヘルスケア関連団体のリーダーのみなさんに、さらに多くの気づきや成長をもたらす実り多いものとなることを期待しながら、今後もVHO-netの活動を見守りたいと思います。