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難病法5年見直しや、難病患者の就労支援を
テーマに3年ぶり対面での議論も実施

難病法5年見直しや、難病患者の就労支援を
テーマに3年ぶり対面での議論も実施

2022年11月12日、「難病・慢性疾患全国フォーラム2022」が、対面(JA共済ビルカンファレンスホール)とオンラインのハイブリッド形式で開催されました。

「すべての患者・障害者・高齢者が安心して暮らせる社会を!!」

「難病・慢性疾患全国フォーラム」は、 (一社)日本難病・疾病団体協議会(JPA)、(公社)日本リウマチ友の会、認定NPO法人 難病のこども支援全国ネットワークの呼びかけで、新しい難病対策と長期慢性疾患対策の確立を目指して、2010年から開催されてきました。2020年、2021年はコロナ禍によりオンラインで開催されましたが、今回は3年ぶりの対面開催も実現。多くの患者・家族団体、地域難病団体連合組織、行政関係者、支援団体、企業などが一堂に会してのフォーラムとなりました。

パネルディスカッションの様子 パネルディスカッションの様子 第一部では「患者・家族の声」として、当事者の立場から難病や慢性疾患患者の直面する課題や、難病対策の課題などについての発表が行われ、第二部では難病・慢性疾患患者の就労をテーマにパネルディスカッションが実施されました。
最後に、「今日のフォーラムを通して、患者・家族が抱える現状や課題が提示された。難病法・改正児童福祉法の5年見直しはようやく改正されようとしているが、マイナンバーカードの活用、ゲノム解析やiPS細胞などの新たな医療の情報収集、データベースの個人情報管理など今後の進捗状況を見ながら、当事者の声を上げ続け、前へ進んでいきたい(要約)」との集会アピールを採択してフォーラムは終了しました。

主催者挨拶

難病・慢性疾患全国フォーラム2022 実行委員長 福島 慎吾さん
(認定NPO法人 難病のこども支援全国ネットワーク)


2015年に施行された難病法と改正児童福祉法の見直しは、法成立当時の附帯決議の完全実施という観点から評価をすると課題が多く残っています。
今年度のフォーラムは、恒例の「患者・家族の声」および、社会参加のための大きな施策の一つである「難病・慢性疾患患者の就労」に関するパネルディスカッションを昨年に続き企画しました。私たちも制定時の思いや願いを振り返りながら、すべての患者・障がい者・高齢者が安心して暮らせる社会の実現に向けた、今後のあるべき姿を考えていきましょう。

第一部:患者・家族の声 発表内容と発表者

NPO法人ASridによる<br>ポスター展示セッションも実施 NPO法人ASridによる
ポスター展示セッションも実施
「指定難病への道のり〜ボクたちを知って下さい!〜」
MECP2重複症候群患者家族会 代表 河越 直美さん

「疾病横断的課題の解決にむけて〜患者の声を活かす~」
(一社)全国がん患者団体連合会 理事
(一社)CSRプロジェクト 代表理事 桜井 なおみさん

「心臓病児者の自立を考える〜移行医療の視点から〜」
(一社)全国心臓病の子どもを守る会 副会長 大澤 麻美さん

「福祉的就労と支援の現状と課題」
胆道閉鎖症の子どもを守る会運営委員(BAニュース編集長) 和田 弘仁さん

「難病法5年見直しの成果と課題」
(一社)日本難病・疾病団体協議会 代表理事 吉川 祐一さん

「見直し後に残る小児慢性特定疾病の課題」
認定NPO法人 難病のこども支援全国 ネットワーク 専務理事 福島 慎吾さん

第二部:パネルディスカッション「難病・慢性疾患患者の就労」
就労問題をテーマに行政、研究者、支援者、当事者が討論

舩後靖彦さんをはじめ、</br>多くの来賓からメッセージが寄せられました 舩後靖彦さんをはじめ、
多くの来賓からメッセージが寄せられました
パネルディスカッションでは、「難病・慢性疾患患者の就労」をテーマに、行政、研究者、支援者、当事者による活発な討論が繰り広げられました。

まず、行政の立場から難病患者の就労支援の取り組みについての説明があり、次に研究者として春名さんが「慢性疾患による就労支援ニーズのある人への支援の充実は、高齢化や疾病構造の変化に伴う地域経済医療・福祉・教育などの関係分野の制度・サービス改善とも関係する先進国共通の課題であり、海外の例は参考になる」と発言。川尻さんは支援者の立場から「今後も同じ方向を向いて進んでいきたい」と述べました。

当事者として、仲島さんは団体での就労支援活動での経験や思いを語り「私たちは患者である前に、一人の生活者であることを大前提として考えてほしい」と発言。同じく当事者の立場から、岩崎さんは障害者手帳を持たない難病患者の就職活動の難しさについて語りました。

その後の討議では、当事者側は「ワンストップで相談できるところと、その次の段階での各機関同士の連携が必要ではないかと思う」「就労支援センターやハローワークの対応にも地域差や格差がある。調査や指導が必要」と言及。会場から、「がん患者の就労支援と一緒に進めればよいのではないか。また企業側の視点も必要」「国の検討会に、難病、慢性疾患の患者の視点も加えてほしい」との意見があり、研究者からは「障がいがあるかどうかではなく、個々の支援ニーズに注目すべき」との発言がありました。行政側は、「各機関が就労支援に十分に対応できていないことを非常に重く受け止めた」「医師の就労への理解を進めることも課題」「障害者就業・生活支援センターや、難病患者就職サポーターの充実を図りたい」と答えました。

司会進行を務めたJPA常務理事の辻邦夫さんは「行政の皆さんに気づけていただいた部分も多くあったように思う。私たちももっと声を集めて積極的に活動していきたい」とまとめました。

参加者と発言内容

■厚生労働省健康局難病対策課 蓑原 哲弘さん
「難病・小児慢性特定疾病対策について」

■厚生労働省職業安定局障害者雇用対策課 小野 寺徳子さん
「難病患者の就労支援について」

■厚生労働省労働基準局安全衛生部労働衛生課 治療と仕事の両立支援室 佐伯 直俊さん
「治療と仕事の両立支援の取組」

■(独法)高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター 副統括研究員 春名 由一郎さん
「難病でも働きやすい職場・地域づくり(米独の例)」

■群馬大学医学部附属病院 難病相談支援センター 難病相談支援員(保健師・認定難病看護師)川尻 洋美さん
「難病相談支援センターの就労支援」

■NPO法人IBDネットワーク 理事 埼玉IBDの会 会長 仲島 雄大さん
「難病就労に対する疑問や思い〜私たちのことを私たち抜きで決めないで」

■認定NPO法人 全国脊髄小脳変性症・多系統萎縮症 友の会 理事 事務局次長 岩崎恵介さん
「難病患者が働きやすい世の中の実現を」